レッドになりたかったピンク

DRy0

レッドになりたかったピンク

 悪の組織、グレーターが現れてから3か月。

 警察は対グレーター組織、特殊犯罪捜査課、通称警察ヒーローを発足させた。


 なぜヒーローと呼ばれているかというと、

 特殊犯罪捜査課では、まるでテレビのヒーローみたいなスーツとヘルメットを装備して出動しているからだ。


 グレーターは特殊な技術を使って、機械化や他の生物とのキメラ化をした、いわゆる怪人を使って世界征服を目論んでいる。

 私たちが着ているこのスーツは、強度の向上やパワーアシストがついていて、怪人に対して有利に戦うことができる。

 ただ、このスーツには1つ問題があった。スーツが人を選ぶということだ。

 そのため、適合した署員を探し、それぞれに適合したスーツが貸与されている。

 一説には、怪人と近い技術が使われているらしいという説があるが、所詮ゴシップの眉唾話だろう。

 

 また、識別性を高めるためにそれぞれに異なったカラーリングになっている。

 

 赤。青。黄。黒。桃。

 

 私は桃色、ピンクのスーツを貸与されている。


 私たちの間に階級差はない。

 そうであっても、メディアでの露出、街のみんなの視線、署内での扱い、いずれも、赤がセンターに立ち、声援を浴び、表彰される。


 その姿を、横、または後ろからみていた。

 適合率が違っていれば、塗られた色が違えば、どこかをかけ間違えられていれば、そこにいたのは私だったのに。


 昔から、私はヒーローになりたかった。

 中央に立って、誰かを助け、声援を浴びる。

 私が私として認められたいのだろう。歪んでいようが、私は私を偽らない。

 対価のない正義には責任がないと私は思っているからだ。


 今日も出動要請がかかる。 

 街中に怪人が出現。街の人たち及び建物に被害が出ているらしい。


 行ってみれば怪人が街を壊し、逃げる人を追い詰め、殺している。

 みんなの視線は怪人に釘付けだし、警察、遠巻きに撮影している報道、その瞳の全てが怪人に向けられている。

 

 あぁ、そっち側なら、私が主役になれるのだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

レッドになりたかったピンク DRy0 @Qwsend

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ