やっぱりご飯は山王イリス

弓立歩

第1話 ご飯はやっぱり山王イリス!

 私の名前は近藤雪。とある会社に勤める28歳のOLだ。今日も残業を終え今は一人暮らしのアパートに戻っている。


「はぁ~、本当に課長ってばどうしてああなのかしら?デスクにいないで目を離したらすぐに現場で仕事するんだから。別に私だって残業が嫌いとかできないって訳じゃないの。ただ、昼一に受けた電話が現場にいたから16時からの対応で、『今日中に仮でいいから見積り出して』だなんて。こっちは終業のルーチンがあるのに…」


 そう愚痴りながら電車を降りて帰り道を歩いていく。


「おっと、そんなことを考えてたらもう着いたわね。ただいま~!」


 そう声をかけても一人暮らし。誰からも返事が返ることはなく、そのまま部屋に入ってバッグを置く。


「さてと、まずはご飯の準備しなきゃ」


 スーツをハンガーにかけ、部屋着に着替えるとキッチンに向かう。


「え~っと、冷蔵庫の中はどんな感じかな?肉は…買ってなかったから冷凍の豚肉ね。野菜はカット野菜の残りがあるか…。今日は炒め物にしましょう」


 ササッと材料を取り出してフライパンに油を引き料理の準備をする。


「うん、フライパンは温まったし、豚肉を投入~。おっと、ケトルでお湯も沸かさないとね~」


 私はケトルに水を汲み、スイッチを入れる。


「さらに待ち時間でお椀にレトルトの味噌汁を入れてと…」


 今日は残業の疲れもあるので味噌汁も即席だ。こういう時に便利なのでいつもスーパーで購入して買い置きしている。


「豚肉はと…そろそろほぐれてきたわね。それじゃあ、カット野菜を投入してご飯はレンジと」


 隣の棚からパックご飯を取り出すと端を開けてレンジに入れ時間を三分にセットする。


「うん!これでこっちも準備OK。スタートを押して炒め物の方に移らなきゃ。野菜も入れたから軽く塩こしょうを振って様子見。あとは…」


 ピッ


『給湯栓を開けてください』


「お風呂の準備よね」


 給湯機のスイッチを押し、お風呂場へ行きお湯を出す。


「この手軽さが一人暮らしの特権よね。炒め物はもうちょっとか…」


 チーン


 先にご飯ができたようだ。しかし、まだ他の料理が完成していないのでしばし放置。たまにピピッと音が鳴るけど無視無視。


「そろそろできそうね。それじゃあ、ケトルのお湯が沸く前にお皿に炒め物を開けてと…」


 ガチャ


 出来た炒め物はお皿に盛って冷蔵庫から出した焼き肉のたれをかける。そして、レンジからはパックご飯も取り出してと。


「後はケトルのお湯ね。とりあえず、料理は一度テーブルに運んでおきましょう」


 お湯以外は全部完成したので、お盆に料理を乗せて運ぶ。


 カチッ


「お湯も沸いたわね。それじゃあ、ケトルも運んでと…」


 テーブルの上にケトルも運び、お盆に乗っているお椀に湯を注ぐ。


「ん~、いい香り!ご飯には何をかけようかな?キムチは買ってないし、ふりかけかふきの佃煮ね。今日は佃煮にしましょう!こっちは昆布も入ってるし、味も濃いから炒め物にかけた焼肉のたれにも負けないしね!」


 ちょろっとお茶漬けに入れてもしゃきしゃきとした食感に、醤油ベースの味が加わっておいしいのだ。


「そうと決まれば持ってきましょう。あとは…お茶ね。これもティーバックを一つ持って来てと」


 パックご飯にはふきの佃煮を乗せ、湯飲みとお椀にお湯を注ぐ。


「それじゃあ…いただきま~す!」


 出来上がった料理を食べていく。


「ん~、簡単10分もかからない料理なのにおいしい。でも、やっぱり決め手はこのご飯よね。低温製法米のおいしいご飯、前に買っていたパックご飯が買いにくくなってから見つけたけど、いい出会いだったわ。通販で買うから大量に置いとけるしね」


 内容量180gはちょっと中途半端だけど、200gになって価格が上がっても困るしね。流石に150gは少ないし。


「は~、食べた~。今日もやっぱりご飯は『山王イリス!』。これで明日からも戦えるわ」


『お風呂が沸きました』


「あっ、食べてるうちにお風呂が沸いたわね。それじゃ、食後の入浴タイムと行きますか!」




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