化け物と白いリボン
ヨムカモ
第1話
こんな噂がある。
ある
十二月初旬。
クリスマスに向けてオーナメントが街中を飾り、夜がきらびやかに
その化け物は――
なぜならば。
「吸血鬼さん。いらっしゃるんでしょう? ――吸血鬼さん?」
――そう。化け物の正体は、「吸血鬼」だったからである。
「……ああもう、うるさいなあ……。僕は来年までここから出ないって決めたんだって」
気だるげな声が木の上から降ってくる。しかも、ぬっと突き出てきた手が追い払うように上下に揺れて、それを見た
数週間に一度、この公園に通っているが、それは吸血鬼のためだった。警察に捕まるのが怖くて人を襲えない彼のために、放課後、自らすすんで献血しに来ているのだ。
「相談があるんです。少しくらい聞いてくださってもいいじゃないですか」
しかし、ただの奉仕ではない。対価として、相談に乗ってもらうのだ。人間嫌いの彼は植物に
だが、今回はなぜか、何度頼んでも吸血鬼の返答は
「いや、しばらくは無理。血もいらない。というわけで、はい、帰って帰って」
「――吸血鬼さん!」
「もう暗くなるよ~。じゃあね、よいお年を~」
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