第7話:ヤンキーガール天才ちゃん

 ノブレス・オンラインのイベントは、都内某所の電気街で行われていた。

 道路は一斉に歩行者天国、車やバイク、自転車が禁止となり、コスプレをしている人でいっぱいだ。


 事前に混むだろうと思っていたが、あまりの多さに驚く。


「ねえ吹雪、あれ、ノブレスの『ヴェリツカ』じゃない?」

「すげえ、めちゃくちゃ似てるな」


 モンスターに扮した熊のぬいぐるみが、ゲームのように闊歩していた。

 ほかにも冒険者やギルド受付員、果てに荒くれものっぽい人まで。


 ただコスプレはノブレス限定ではないらしく、見たことのあるアニメもたくさんだ。


「まるでノブレスにいるみたいだねえ」

「だな。ん?」


 すると、目の前に小さな女の子がいた。

 なぜか未知留に指を差す。


 未知留もよくわかっていなかったが――。


「ヤンキーガールの天才ちゃんだー」

「……え?」


 そ、そうなの? と思ったが、未知留はぶんぶんと首を振る。


「写真、とってー」


 そのとき、少女が言った。

 未知留はコスプレじゃないんだよねと謝ったが、母親がやってきた。


「すいません。うちの子が……」

「あああーママー、天才ちゃんがー」

「……あ、あの、良ければその、コスプレではないんですがいいですか?」

「え、あ、でもそんな!?」

「いえ、ねえ、良かったら撮る?」

「とる!」


 未知留はとびきりの笑顔で、少女の隣に並んだ。


「ねえ、あのポーズしてー」

「どの恰好……?」

「膝ついて、おらおらするやつ!」

「え、ええと……」


 困惑した未知留だが、少女の言う通りにヤンキー座り。

 それがあまりにも似合いすぎて笑っていると、ああん? という顔をした。


 だがそのとき、母親がパシャリ。


「え?」

「ありがとうございます! ポーズに表情まで……本当に!」

「い、いえいえ! それじゃあまたね」

「ありがとう! ヤンキーガール天才ちゃんー」


 ひきつった笑いのまま手を振る未知留。

 俺は、思わず大爆笑した。


「くっくくはは、おもろすぎるだろ」

「な、なに笑っての吹雪!」

「めちゃくちゃ似合ってたぜ、天才ちゃん」

「……見たことないくせに」


 ふたりでスマホで検索してみると、ヤンキーガール天才ちゃんは、マジで未知留だった。


 それでまた笑っていると、未知留も釣られて笑う。


「これは確かに私、天才ちゃんだわ」

「これは間違えても無理ないな。それに、めちゃくちゃ可愛いな。人気も高そうだ」


 スマホをフリックしながら他の画像を見てみるが、とにかくカワイイ。

 しかし未知留が無言だった。


 顔を上げて見てみると、なぜか恥ずかしそうだ。


「どうした?」

「な、なんでもない……」


 一体どうしたのだろうか。


「さて、メイン会場までもう少しだ。はぐれたことを考えて、どこか待ち合わせ決めておくか?」


 さらに人が増えてきた。

 まるで夏休みの祭りだ。


 だがそのとき、俺の腕に何かが当たる。

 いや、掴んだのだ。


「なら、こうしておく」


 未知留が、俺の腕をがっしりと掴んだ。

 驚きで声も出なかったが、にへへと笑い出す。


「もしかして恥ずかしがってるのかな? 吹雪ちゃん」

「……べ、べつに?」

「どうせすぐだしね。それに、こんなに人いたら誰にも見られるわけないし、いいでしょ」

「ま、まあ?」

「なんか、頬赤くない?」

「そ、そうか?」


 大胆すぎる行動にあたふた。

 

 ……いやこれはただの腕リード。

 いうなれば俺は犬、首輪をつけられただけだ。


 気にしたら負けだ。


「行こう、目的の地へワン」

「何の話?」


   ◇


 その直後、吹雪と未知留の横に通った女性二人がいた。

 妹穂波と、友達のカレンである。


「ふぇー、人多くない!?」

「何かのイベントかな? 穂波、こっちだよカフェ」

「……お兄ちゃんの匂いがした」

「え? なんて?」

「今、お兄ちゃんの匂いがした」

「それがマジだったら、あんた警察犬超えてるよ」

「えへへ」

「褒めてないよ」



 ――――――――――――――――――――――

 あとがき。

 吹雪のぴんち?(/・ω・)/


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