隣の席の金髪ヤンキーガールが、俺のゲーマー仲間だった件。というか、めちゃくちゃオタ可愛いんだが

菊池 快晴@書籍化進行中

第1話:うちのクラスのヤンキーガールはオタ可愛い

「また遅刻か? 相沢」

「……させん」

「ったく、いいから席につけ。あと、寝るなよ」

「……っす」


 二時限目の途中、教室の扉を開けたのは、今どきめずらしい金髪のヤンキーガールだった。

 名前は相沢あいざわ未知留みちるで、俺――藤崎ふじさき吹雪ふぶきと同じ高校一年生だ。


 気崩した制服、胸元の空いた白シャツ、校則違反ギリギリの短いスカート。

 目鼻立ちは綺麗で、耳元のピアスと艶やかな金髪が特徴的だ。


 ゆっくりと歩いて俺の隣の席に座ると、ふぁあああと眠たげにあくびした。


 チラリと目が合ったので、慌てて目を逸らす。


 入学式から半年も経過すると、人間関係ってのは徐々に構築されていく。

 

 俺は立ち位置は普通って感じだ。

 それなりい仲のいい友達もいるし、女子とも話せる。


 相沢は真逆。

 クラスメイトは誰も彼女のことを快く思っていない。


 理由はヤンキーだからということもあるが、それに付随したスペックにある。


「――で、この前のテストだが……一位は相沢だ。取りに来い」

「……………」

「相沢! 寝るなといっただろう」

「……させん」


 席につくなり眠りこけたあと、次に呼ばれたのは総合一位のテストの答案だった。


 これが、彼女が避けられている大きな要因である。

 都内にあるこの私立青樹せいじゅ学園は、偏差値72近くもある高校としても有名だ。


 合格率は低く、狭き門を突破したのが俺たち。

 受験勉強は大変だった。


 だが彼女は、そんな俺たちをあざ笑うかのように悠々自適に毎回一位を飾る。


 私立ということもあって、髪型、髪色は自由。

 スマホの持ち込みも許可されているのだが、普通は黒髪で、せいぜい薄っすらとした茶髪くらいだ。


 だが彼女は違う。


 唯一無二の金髪をなびかせながら、100点の答案を手に持ったまま、席に座って眠りにつく。


「……いいよなぁ天才は」

「例外だよ、相沢だけは」

「羨ましい」


 クラスメイトからは妬みと嫉妬で溢れていた。

 だが俺は、相沢のちゃんとしている所も知っている。


 遅刻しても必ず学校には来るし、提出物だって忘れたところをみたことがない。

 昼も、彩鮮やかな弁当を背筋を伸ばして綺麗に食べる。


 印象的なのは、月に一度まわってくる日直だ。


 朝早くきて花の水の入れ替えをしたり、ゴミ捨て場の掃除をするのだが、相沢はそのときは絶対に遅刻しない。

 俺と一緒になったときも、静かに淡々と仕事をこなしていた。


「…………」


 そのとき、答案を受け取って数分後、相沢が寝顔をこっちに向けた。


「……綺麗だな」


 思わず呟くほどに、整っていた。




 放課後、俺は誰よりも早く外に出た。

 いつもはだらだらと帰るのだが、今日はめずらしく予定がある。


 それは――ゲームのオフ会だ。


 俺には愛してやまないゲームがある。

 名前は『ノブレス・オンライン』。スマホでプレイ可能なMMORPGだ。

 異世界転生を元にしたゲームで、主人公は女神からランダムでもらうスキルを使って冒険の旅に出る。

 

 最大の売りは、日本中の人たちと楽しめること。


 同時接続数は今や勢いを止まることがなく増え続けており、社会現象にも発展した。


 俺のプレイヤーネームは吹雪からとって『フブキ』。

 職業は魔法戦士で、強さはそこそこ。


 大手ギルドに所属しているのだが、今日は彼ら、あるいは彼女らとのオフ会である。


 いつもチャットで話しているので過度な緊張はないが、それでも初めてのことだ。

 なんせ50人ほど参加するらしい。


 俺みたいな未成年も多いので集合時間はかなり早く、アルコールは禁止。

 店はギルメンの人が提供してくれるので安心だ。


 急いで電車に駆けこみ、目的の駅で降りる。

 路地裏を歩いていると、俺はそこでデジャブを見た。


 気崩した制服を着た金髪が、俺の前を歩いているのだ。


 これが見間違いでなければ、おそらくだが俺の知っている人。


 ……どういうことだ?


 俺がクラスから出るとき、相沢は教室にいた。

 電車にもいなかった。

 

 流石に別人だろう。


 右、左、右、左、まるで俺を誘導してくれるNPCかのように金髪が揺れる。

 やがてガヤガヤと声が聞こえてきた。

 大勢の人たちが店の前で和気あいあいとしているのだ。


 その光景に思わず微笑んだ。


 緊張はしている。しかし、戦友と会えるのだ。


 そして俺には、一番会いたい親友やつがいた。


 俺がゲームの世界に飛び込んで困っていたとき、助けてくれたプレイヤー。

 面倒見のいいやつで、一緒に魔物を倒したり、宿に泊まったりした。


 空白の期間もあったが、ふたたび再会したときは1日中一緒に狩りをした。

 今は、同じギルドに所属していて、毎日一緒に遊んでいる。

 チャットしかしてないのでどんな人かは知らないが、気のあういい奴なのだ。


 今日、そいつも来るといっていた。


 ……そういえば、プレイヤーネームがミチルだったな。

 相沢と同じだと思っていたら、突然、金髪が振り返った。


「……やっぱ恥ずかしくて無理だ……え?」


 ばったりと目が合う。


 金髪はやはり相沢未知留だった。

 その手にはスマホ、背表紙には『ノブレス』のキャラターシールが貼っている。


「……え? 相沢?」

「……藤崎? な、なんでここにいるの?」

「いやその……オフ会があるんだ。ノブレスっていうゲームの」


 俺の名前知ってたのか。まあ、クラスメイトだから当たり前か。

 すると、相沢が目を見開いた。


 へえ、こんな驚いた顔もするのか。


「う、うそでしょ!?」

「……うそ?」

「だ、だって私も……」


 相沢は、マジでアニメキャラみたいに頬を赤くした。

 耳まで真っ赤になる、なんて表現があるが、そのまんまだった。


「オフ会に来たんだけど……」


「……え?」


 ――――――――――――――――――――――

 あとがき。

 基本まったり。

 ヤンキー感そんな高くないかも。

 ラブコメ一年ぶりくらいです(/・ω・)/



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