84話 劣弱ー46

ガァン!!

盾に当たる斬撃

ヒュ…

「獄域・空間スケール

断裂狭間エルトブランク

バキィ!!!

空間が割れ傾く鎧騎士

ザァン!!

ガン!

飛ばされた斬撃は盾に防がれる

「すみませんユジィ様」

「気にすんな」

ダッ


ギィン!!

交差する剣

「いつになったら倒れるんだこの鎧は」

ふひ

鎧の後ろで微笑む少年

「幻勇戦士はそう簡単に倒れないよ」

「?」

カクリヨは何かに耳を傾ける

ちっ

ガンガン!!

「シノビ!亜空間行くぞ!」

「はい!」

後方にいるシノビは亜空間を練り込む

「いいかげん倒れろや!!」

ブン!

スカ……??

突如として消える寂れた騎士

ゾゾゾ!!!

ダッ

なんだ…今の悪寒は

「……ユジィ様」

額から汗を流すシノビ

「シノビ…亜空間は防御に使え」

「来るぞ」

ゴゴゴゴゴ!!!

大地がうねりを上げる

ドン

・・・

静寂の中、不敵に笑う少年

「はぁ…ねぇユジィ君」

「なんか僕の仕事は終わったみたいなんだ」

「本当に人使い荒いよねぇ…本当に」

急にペラペラ喋りやがって…なんだこいつ

バサ

草原に座るカクリヨ

「正直,僕はこの世界がどうなろうがどうでもいいんだよねー」

「今回だって面白い物が見れそうだから手を貸したけど…聖霊を捕まえるのが先だとか言っちゃって…」

「確かに悪魔よりも実用性はあると思うけどさ面白いのは人間を生贄にした悪魔だと思わない?」

「どう思うユジィ君?」

・・・

「何言ってんだお前は…」

「てかさっきから何なんだよ…魔人種でもねぇお前が手を貸したり」

「俺達を閉じ込めたり…意味わかんねぇ」

ふっ

笑うカクリヨ

「まぁ意味はあるよ…それに意義もある」

「君が野放しに世界を整えるのを黙って見てる程僕はおひとよしじゃない」

「世界の均衡を保つためには…君と均衡を保たなきゃ」

なんだこの違和感は…

さっきから喋ってる感じが生前の世界奴と話してるみたいだ

今なら聞けるか

「お前…もしかして」

「地球って所に住んでなかったか?」


・・・


「さぁ…そんな所にいた記憶はないな」

「これからどうしようか…まぁファーストの依頼は達成したし」

「僕がしたい事をしようかな」

「よっと」

グッ

立ち上がり拳を握るカクリヨ

「ねぇユジィ君」

「僕たちにしか出来ない魔法で戦ってみない?」

俺たちにしか出来ない?

「英絶たる心眼の相、遊廓なるは万象の核…」

これは…詠唱

「ユジィ様…あいつは何を言っているのでしょうか」

シノビには聞こえない…俺には聞こえてる

ドキン!

「シノビ……俺の後ろにいてくれ」

「動くなよ」

ザッ

グッ

拳を構え…詠唱をする

「再誕せし恒久の礎、来訪する永久の岩戸…」

ニヤ

微笑むカクリヨ

両者の詠唱は大空広がる草原に木霊こだまする

それを見つめるシノビ

(なんだこの気配…2人の言葉が……聞こえない)

ピタ

・・・

草木は停止し風だけがなびく

「ありがとうユジィ君」

「君のおかげで生を実感できるよ」

……

「やっぱお前…この世界の人間じゃねぇだろ」

ふふ

「まぁ当たらずも遠からずだね」

バチィ!!!

両者の足元に浮かび上がる魔法陣

ブワン!!

体に刻まれるそれぞれの紋章

「ユジィ君…あんまがっかりさせるなよ?」

ちっ…

神域しんいき

復活リザレクト」「召喚サモン

バキバキバキ!!!!

「うっ!!」

天から降り注いだ光

その中から現れる2人の神域使い


ボッ!!

「ユジィ…様?」

全身から発火する少年

「シノビ…皆には内密で頼む」

……

ガッ

シノビは自然と膝をつき首を垂れる

「…おうせのままに」

パチパチ

「それがユジィ君の神域なんだね…かっこいいじゃん」

ボッ!

燃ゆる蒼炎そうえん

【神域・復活リザレクト

神炎プロメテウス

「それがお前の神域か?」

カクリヨの隣にいる羽の生えた何か

「そうだよ」

【神域・召喚サモン

「魔神イフリート」

「まぁ今回は手合わせにしておこう」

「僕たちが本気でぶつかったら世界が壊れちゃうしね」

……

「?」

「どうしたのかなユジィ君」

ボッ…

神域を使うのは初めてだけど…なんだろうこの感覚

ひどく頭がスッキリして、全てが見える気がする

「まぁいいや」

ボッ

「とりあえず、お前を殺すよ」

神炎アラト

燃え盛る炎

「いいね…じゃあこっちも」

焔地コグマ

ブワ!!!!

紅い炎と蒼い炎が草原でぶつかり合う



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