11話 双子ー10

ドォン!!

「……あれ?」

地表へ続く階段を前に戸惑うイオ

「俺てっきり獣人がうじゃうじゃいると……」

扉を開けると地表に続く階段が姿を表す、周辺に獣人の姿はない

だが階段の向こうには獣人の気配がぷんぷん漂う

部屋の前であれだけ発破をかけた手前、階段の向こうからが本番とは言えない

「まぁあれだ…行こう」

「うん」

タタタ

階段の向こうに見える扉

「イオ!あの向こうに何体見える」

……

「5……6?」

ダッ!!

勢いよく階段を蹴り飛躍

ドォォォォオオオン!!!

扉にむかい大蹴りをかまし扉の前にいた獣人ごと蹴り抜く

「まだまだだな……正解は」

「今の除いて7体だな」

「うぅ……がは」

蹴り破られた扉と壁に挟まる獣人

ギロ

「誰だぁお前は!!」

まずは武器を観察

斧2、槍1、剣2が盾持ちの斧が2体

「敵襲だ!!」「ぶっ殺せ!!」

斧と盾持ちが襲いかかる、顔怖過ぎ

ブゥン!!

「いいかイオ、多対一は相性で見極めろ」

階段から顔を覗かせるイオ

ダン!!

ダダダダダ!!

「なんだこいつ!」

「あたらねぇぞ!」

武器を避けるのは簡単だが…あいつに見やすいように立ち回らなければ

「今俺は素手だ、まずは」

ビュン!

「リーチの長いやつから刺す」

「いぃ!!」

突如現れた人種にすかさず槍を突き立てる

ビュン!

「食いしばれよ獣人」

ドッ

「がはぁ!」

槍をかすめ下方から拳を振りあげる

落ちる槍兵を囲むように獣人が取り囲む

「その次は防御力の高い奴だ、ここなら盾持ち」

南西と北西に盾持ち…なら

「死ねぇ!!」

ギュイ

前漫画で見た「上段蹴り」の要領で…

ドン

「なっ!!」

剣を振り上げた剣を目掛けて蹴りを入れ、剣を盾持ちの死角に蹴り飛ばす

ザシュ!!!!

「がふ…」

すかさず獣人も吹き飛ばす

よし次

「どらぁぁ!!」

ブン!

斧が届くより早くしゃがみ

「背後から卑怯だと思わないのか」

ダッ!

剣を避け、盾持ちの斧を掴む

グリィン!

斧を持ちながら回転すると相手も崩れ隙ができる…そこを狙う!

ドシャ

「ぬわぁぁぁぁあああ!!」

やべ…後ろに飛ばそうとしたけど威力強過ぎて肩を吹き飛ばしちまった

盾持ち獣人の方は拳型に穴が空いていた

ドッ!

背後から三体の獣人…もう教える事もないか

ビシャ

手に着いた獣人の血を浴びせる

「ぬわ!」

獣人の目には大量の血が降りかかる

「最後に…使えるものは全て掌握すること」

ダッ

ダダダダダダダダダダダダ!!

目眩しで怯んだ獣人2体をタコ殴り

ドサ

「おま……お前は一体なんなんだよ!!」

グイ

返り血を拭う殺戮者

「あ?…そんなのこの状況で分かれよ獣人」

「お前の敵だろ」

コロン

床に転がる獣人の頭部

「どうだイオ、多対一の講座は」

「あ……あんた今、魔法使ったか?」

「何者なんだ…いくら神の代理人でもおかしいだろ」

驚愕の表情を浮かべるイオ

・・・

「格下には使わねぇの」

倒れる獣人を見るイオ

「格下って…錬域使いが8体いたんだぞユジィ」

「それに錬域を使ってた獣人種を…」

「細かいな君は」

観察しろと言ったがそこまで見なくても

「だぁれだ、お前らぁ」

「殺しはしちゃいけないんだぞ許可なしに」

バッ!

通路の向こうから聞き覚えのある声

牛頭にエプロン

格好を見るまでもなくわかる頭の弱い言語

「よう、久しぶりだなデストロくん」

俺とルイ、ピットが捕まった時にいた獣人

「あの時は名付け親をよくも殴ってくれたな」

………

ガパ

大口が開く

「あぁ〜あの俺をいじめる奴と一緒にいたチビか」

「かっかっあ、俺記憶力いいから覚えてたぞ奴隷よ!!」

「イオ」

「俺の魔法見せてやるから少し下がっててくれないか」

「え……あぁ」

イオは血溜まりを踏み後退する

デストロは目の前に倒れる同胞を目にする

「こいつら…お前がやったのか?」

・・・

「さぁ?」

グッ

「そうだ…人種風情がこんなことできるわけない」

「教えろ、そいつはどこに行った」

「う〜ん」

「場所は知ってるけど教えたくないな」

ビキ

牛の額に筋が浮き出る

「おちょくるなよ奴隷風情が」

「じゃあお前も言葉を喋るなよ動物風情が」

ビキビキ

「ぶっ殺す」

錬域「ごう

ブチブチ!!

シュゥゥ

牛の体は縮小され蒸気を発している

「獣人種は飼われることを享受した動物風情とは違う」

「我々は己が手で種の繁栄を掴み取った高潔な血統なんだよ」

「人種、お前たちと違ってな」

「あまり俺達を舐めるなよ」

先程までのたどたどしい口調とは変わり冷静かつ滑らかな口調

「舐めるんじゃなくてじっくり焼いて食べないとな牛肉なら」

ビュン!!

「黙れ」

振り抜かれる歪な棍棒

    【復活リザレクト

ダァァァァァァン!!!

「うぅ!!」

凄まじい風圧に死体は吹き飛びイオは床にしがみつく

「なんだ今の…それに」

ガキィ

棍棒は振り下ろされず静止している

「なんだ…その武器は」

デストロの棍棒を抑えるのは黄土色の3本の筒を繋ぐ鎖

「見るのは初めてか獣人」

孫維そんいの三節棍}

ガチャガチャ

ブワァン!

「な……今何を」

棍棒は返されデストロの上体は崩れる

ヒュ…

デストロの目の前に黄土色の筒

「そう怖い顔すんなよ牛肉」

ダァン!!

ダッ

ダダダダ

後方に吹き飛ばされるデストロ

カチャカチャ

ギュイ

うむ…三節棍なんて漫画でしか見なかったけど

しっくりくる、まるで何百年も使ってたみたいだ…いいね

ボロォ

レンガ作りの床はデストロが吹き飛ばされた方にえぐれている

「うぅ…」

顔を抑えるデストロ

「なんだ今の重さ…まるで…ガリアス様…いや」

ブンブンブン

風圧で髪が揺れる

「どうしたデストロ」

「ピットを殴った時みたいに笑えよ…おい」

ゾク!


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