3 大好きなあなたに。
大好きなあなたに。
ひかりがお母さんとお話をしたことで今も一番覚えていることは、ひかりがどのように生きればいいのか? と言うお話だった。
ひかり。あなたは本当に優しい子ね。でも少しだけ優しすぎるわ。
笑いながらお母さんは言う。
ひかりはお母さんの大きなおなかのところに寝っ転がりながら、(うとうとと、眠ってしまいそうになることを我慢して)お母さんのお話を聞いている。
ひかりは我慢をし過ぎている。姉妹のために。
ひかりは自分を抑えすぎている。姉妹のために。
ひかりはずっと黙っている。姉妹のために。
お母さんは言う。
私はみんなにずっと笑っていてほしいの。ただそれだけなんです。
ひかりは言う。
それはとても大切なことです。でもねひかり。言いたいことは言ってもいいのですよ。わがままになってもいい。ほしいものは欲しいと言ってもいいのです。そのことで姉妹と喧嘩になったとしても、姉妹の誰かやひかりが泣いてしまったとしてもいいのです。そんなことでみんなひかりのことを嫌いになったりしません。ひかりも姉妹のことを嫌いになったりしないでしょ? と優しい顔でお母さんは言った。
はい。しません。
目をつぶってひかりは言う。
ひかり。
あなては本当に優しい。あなたは本当に繊細で綺麗な心を持っています。
あなたは姉妹の幸せを願っている。
でもね、ひかり。
私はほかの姉妹だけでなくて、ひかり。あなたの幸せも願っているのよ。
眠ってしまったひかりの顔を優しく舌で舐めながらお母さんは言った。
お母さんが亡くなった日。
ひかりはいつものように泣くことを我慢しようと思った。頑張って笑って泣いている姉妹のみんなを笑顔にしようと思った。でも、やっぱり無理だった。
ひかりは泣いた。ほかの姉妹たちと一緒にわんわんと泣いた。
我慢なんて、できるわけなかった。
ひかりお姉様。そのお菓子は私のものですよ。勝手に食べないでください。怒りながらきららが言った。
早い者勝ちです。私だってそのお菓子は狙っていたのです。名前だって書いてありませんし、それにこんなところに置いておくきららが悪いのですよ。と言ってひかりはきららのお菓子を食べてしまった。(きららは泣いてしまってそのままいつもの姉妹の喧嘩が始まった)
ひかりお姉様の意地悪! 嫌い! (まだ泣いている)きららは言う。
ひかりはなんでもないと言ったような顔をしてそんなきららに舌を出してとても変な顔をした。
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