第2話

 街は無人で、暴風で土埃が荒れ狂い。食べ物もあまりなく。酸素すらもあまりなかった。砂混じりの雨が降り続ける地でもあった。

老人にとって、それは過酷な試練のなにものでもなかった……。

 



数十日前。


「また、旅立ちだな」

「そうね」

 老人と小さな女の子がいる。

 この街も駄目だったのだ。

 人が住めない街が多くなりつつある。

 老人と女の子は教授と教え子の孫という奇妙な関係だった。

 荒廃した地ばかり見て来た老人と少女は、そこで遠くへ行くことにした。

 西へと行き、その次は南へと行く。 そして、今度は東へ。

この旅では老人は北を避けていた。


 西へと向かっていると、車窓から少女が無邪気に遠くを指差した。

「あ、あそこの街。人がいっぱい住んでいるわ」

 老人は喜んで、

「ほう、そうかい」

 オンボロの車のハンドルをきって向かうことにした。


 街全体を取り囲む鋼鉄の風車によって、皆、暴風から守られている街であった。

 砂混じりの小雨に、地獄の業火のような真っ赤な太陽。

 ここまでは、どこにでもある街であった。

 ただ、違うところはたくさんの人が住んでいるところだった。

 だが、街に着くと人々の様子が何故かいそいそとしていた。

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