十人十色

@msdaka

第1話

第一話

 「こんにちは、ここは、人生を終わらせる事が出来ると聞いてやって来たのですが合ってますか?」

「はい、合ってます。ではお手続きさせて頂きますのでいろいろと聞かせて頂きます。まず生きてるのが辛くなった理由は、なんですか?何もかもが嫌になり自分が必要とされて無いと気づいたからです。せめて最後ぐらい誰かの役に立ちたいと思いました。確かここ臓器など余す事無く利用されるのですよね。」

「そうです。1つ残らず寄付されます。ご安心下さい。」

「具体的に教えて頂けますか?決まりなので、」

「高校卒業後母子家庭でお金が無かったので、直ぐに就職しました。しかし仕事のミスが多く上司に怒られる日々で、ある日、大きなミスをしてしまい取引先に損害を与えてしまいました。居づらくなり退職しました。それからいくつか転々とし上手くいかなくて、結局無職で生活費の為に借金までしてしまいました。もう私には、生きてる価値なんて無いんです。」

「そうですか。」

「分かりました。もう未練も何も無いですか?」

「はい、もう何も無いんです。」

「では、サインをお願い致します。」

「え、このまま薬とか打ってとかじゃないのですか?」

「いいえ違います。あくまでも今の人生を終わらせて、新しい人生として、我々の組織で働いて貰うだけです。本人がどんなに自分の価値が分からなくても必ず得意なことがあるので、それを我々が開発した。特別なプログラムで、見つけ出し適性の部署や職場で働いて貰います。もちろんただの職業相談所と違うのは、サインをした段階で、拒否権は、何も無いと言う事です。」

「分かりました。役にたつのであれば宜しくお願いします。」

 サインをした。

「では、プログラムを受けて頂きます。」

 奥の部屋へ通されていろいろな質問に答えるペーパーテストといろいろな作業を行う実技検査を一週間ひたすら行った。

そして適性が発表された。

「では、研究所の助手をお願い致します。」

「どういう事ですか?」

「そのままの意味です。拒否権は、ありません。」

「工場勤務等黙々の作業がだめなんですよ。」

「あーそれですが助手なのでいろいろな発明の試作品作りを手伝って貰います。ひたすら同じ作業は、だめでも様々な事は、得意なようです。溶接や工作機械も得意なようで、なんで逆に、部品の組み立て作業をひたすらする仕事で部品を手順に通り素早く取り付けると言うのが苦手だったようです。決して工業系が向いて無いと言うことでは無いようです。正直工作自体が嫌いと言う事でもないですよね。実際高校時代電子工作部にいましたよね。このように皆違って得意な事があります。学校でも短距離が得意な子もいれば長距離が得意な子もいる。歌うのが好きな子もいればピアノを引くのが好きな子もいる。ジャンルが同じでも皆得意不得意好き嫌いがあり人材は、十人十色と私共は、考えてます。ご安心下さい研究所の助手二人目なので、馴染めると思います。」

 初めて自分の居場所を見つけたような気がした。

「宜しくお願いします。」

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