何色に見えますか?
O型はんなり
何色ですか?
「何色ですか?」
そう問われた私は迷っていた。彼女を赤にするか、紫にするか。
この国は今隣国と戦争をしている。理由は良く分からないがどうせくだらないことだろう。
力を持つ者は徴兵されており、私も魔法が仕えたため従軍していた。戦いなんて嫌だったが、幸い私は前線ではなく後方支援に着けることになっていた。
故郷には妹を残してきた。
徴兵のことは心配させるだけだから妹には黙っていたがすぐにばれてしまった。
妹は私を責めるときじっと目を見てくる。その青い瞳で見つめられると見透かされているように感じて話してしまった。
私が死ぬと妹は一人になってしまう。妹のためにも死ぬわけにはいかないのだ。
占領した地域の民は軍により思想検査をされる事になっていた。検査は魔法により行われ、結果はオーラのように現れる。敵対心があれば赤色、敵対心が無ければ紫色。このオーラは術者にしか見えない。その思想検査担当の術者として私は従軍していた。
今日も占領した村を訪れて思想検査をしている。一人また一人と検査をしていく。赤に見えた何人かの首が切られた。目の前で飛んでいく首にはいつまでもなれない。
そしてある少女の順番になった。妹と同じくらいの歳の子だろうか。そして彼女の色は……。
私の言葉により今日まで何人も首を切られてきた。今更、少女一人くらい。なにを迷う必要があるのか。
一言、見た色を素直に言えばすむ話であり、そこに私の感情は必要ない。
しかし私が一言、たった一言いうだけで彼女の生死が決まってしまう。
あまり時間をかけると仲間に不審がられる。
正直に言うことが一番悩むことのない選択だ。私はただ命令に従っているだけ。そこに私の意思や感情が絡む必要はない。ましてや見えた色を報告するだけだ、責任を感じることもない。
それに、嘘を着いたことがばれると虚偽の報告をした罪で私は確実に殺されるだろう。
しかし私のちっぽけな正義感は満たされる。偽善なのもわかっている。
「何色ですか?」
仲間の兵士が色を聞いてくる。兵士はすぐに首を切れるように剣を構えていた。
すぐに答えなければ。
ふと少女と目が合った。青い瞳がじっと私を見つめていた。妹と同じ青い瞳。彼女の隣には妹だろうか、さらに幼い少女が不安そうに姉の服にしがみついていた。
私は少女から目をそらし、紫と正直に言った。
何色に見えますか? O型はんなり @ogata_hannari
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます