色から感じる違和感
飛鳥部あかり
目醒め
今日から春休み。
来年度から私は中学二年生になる。
そのために、数学の予習をすることにした。
姉の使っていた教科書を取り出して、あるページを開く。
『確率』のページだ。
“赤球を6個、青球を2個、緑球を4個入れた袋から、同時に2個の球を取り出すとき、次の確率を求めなさい”
なぜだか妙な違和感がある。
……そうか、色の表記だ。
なぜ「赤」「青」「緑」なんだ?
赤は漢字だったら「紅蓮」「緋色」「深紅」
カタカナだったら「ヴァーミリオン」「クリムゾン」
ルビを振るなら「
(めっちゃ「
こんなにたくさん「赤」の言い換えがあるのに、なぜ「赤」なのか。
私は問題文にペンで書きこむ。
“赤球を6個、青球を2個、緑球を4個”
↓
“紅球を6個、碧球を2個、翠球を4個”
うん。しっくりくる。
(翠って漢字好きなんだよね……)
私は他のページを開いて添削を始める。
しばらくして、友達から連絡が届いているのに気が付いた。
『今暇?』
『カラオケ行こうと思ってるんだけど、一緒に行く?』
『早めに連絡ちょーだい』
『おーい』
『(╯•ω•╰)」
『……大丈夫?』
『先行ってるよ?……後からきていいから』
『別に、無理してこなくてもいいけどね……!!』
添削に夢中になっていたせいで、返信が遅れてしまった。
申し訳ない……。
私は、メッセージを打ち込む。
『ごめんね、勉強していて気が付かなかった。カラオケはいけない』
……そうだ。
私は、まわりの群れる人間とは違う。
孤独を愛し、他の人とは違う人間なのだ。
(シンプルに勉強していたいだけでもあるんだけど……)
いや、きっと私は“ニンゲン”と言えるような存在ではないだろう。
私はきっと社会不適合者。
神に選ばれしもの。
孤独を背負うもの。
(社会付適合者ってなんかかっこいいよね……)
でも、これはきっと私の
ああ、右眼が疼きだした……。
覚醒するというのか……!?
もう少し、もう少しだけ堪えてくれ。
私は遂に「中二病」という
ちなみに、この中二病ごっこは3日で飽きた。
色から感じる違和感 飛鳥部あかり @asukabe
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