第8話ボローニャ大学からの刺客

いよいよ、期末テストが始まった。タカシはテストが大好き。大抵の生徒はテストなんざ、嫌いなモンだが、タカシは自分への挑戦と日頃の結果がどれだけのものか白黒つくのでテストは好きなのだ。

普通クラスは数学は2枚の答案用紙だが、特進クラスだけ3枚。英語に至っては4枚だ。

タカシとみずほは特進クラスに所属して、文系のトップは他ならぬ、みずほなのだ。

タカシは10位前後をウロウロしていた。


今回は賭けをしてみた。

タカシがみずほより順位が上なら、日曜日みずほはタカシの言う通りにエッチのする。順位が下なら、宝島ラーメンの特性ラーメンを奢る事にした。

「みずほ、今回の敵は強いぞ。ボローニャ大学からの刺客だよ」

「誰が?」

「オレ」

「ふぅーん。ボローニャ大学ねぇ。わたしに勝つって、相当大変だよ」

「だから?今回は自信ある。勝ったら何でもさせてね」 

みずほは、バームクーヘンを食べている。4分の1取り分けて、タカシにあげた。

「テストで勝たなきゃ、エッチしないからね。だって、カップルは男の子が受験失敗するって言うし」

「大丈夫、大丈夫」

「根拠の無い、自信は危ないよ」

「お前、オレがどれだけ努力してるか知らないよな」

「まっ、勝ったら何とでも言っていいけど……」


2人は7月の夏に入ると、ライバル視するようになった。

タカシはK大学の法学部志望で、みずほは看護学校。

看護学校を狙うみずほに負けたら、K大学は危うい。

恋人同士でありながらも、タカシにとってはみずほは好敵手なのだ。

7月の頭にとうとう、期末テストが始まった。

タカシは腕時計を机に置き、臨戦体勢。

英語の廣瀬先生が答案用紙を配り、チャイムと同時に、「始め!」と言った。

タカシの頭の中にセックス事なんぞ全くない。

いい点数取る事だけが、肯定される受験生。

18歳の1学期。

テストは3日間続いた。

タカシは今回は自信を持っいた。英語は多分悪くても85点前後だろう。

国語と世界史は期待している。現代文は恐らく100点だろう。

相手はみずほだ。

コイツ、100点を連発する猛者だ。

元々、身体の弱いタカシはテストが終わると体調を崩した。

テスト期間中は3時間しか眠っていなかった。

まだ、採点が終わらないテストの直後、タカシは学校を休んだ。

38℃の熱を出したのだ。

そして、思いっきり寝た。みずほは学校を休んだタカシの事が心配になった。

タカシに絶対に大学合格して欲しいので、わざとあおるような発言をしたことを後悔した。

当時はスマホも携帯電話も無かったから、不安は募る。

何かポケベルの時代だった。

土日を挟んで5日間休んだ。

少しやつれたタカシを見たみずほは、放課後タカシに抱きついた。

「ごめんなさい。わたし、タカシに酷い事言って」

「な、なんの事?」

「テスト前にタカシをバカにした言葉」

タカシは、抱きついたみずほを見下ろして、

「何も気にした無いよ」 

「ホント?」

「うん」

この日、みずほは学校帰りにタカシにお店のパフェを奢った。

明日からいよいよ、テストが戻ってくる。

どちからが、勝つのか?

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