第1章 現代編(カミシマ)
第1話【数奇な運命】
パソコンが並ぶ事務所には夕日が差し込み、
そんな室内で
男は一度作業の手を止めてカップに
コール音はPHS(ピッチ)と呼ばれるポケットサイズの
男が充電スタンドに差し込まれたピッチの画面に表示された
「こちら
「カミシマか? こちらはZ9エンジンブロックライン
カミシマは人気の少ないオフィスを見渡して、
「また、OP100のトラブルですか?
・・・わかりました、すぐに現場へ向かいます」
そう答えてオフィスをあとにした。
彼の名前はカミシマ・トオル。
カミシマは平和な国で一般的な家庭に生まれ、工業大学を卒業して大手自動車関係の会社に就職し、自動車エンジンの工場で
一般的な技術者といえば何かを開発したり、設計することを思い浮かべるかもしれないが、生産技術者というのは工場の生産設備の準備や生産体制の不備を改善するのが仕事だった。大まかに言えば工場で作られる
実はカミシマには平和な国に生まれ、手に職つけるまで25年程度経つが、彼には誰にも言えない秘密があった。
時折、カミシマの
これは現代社会に生きるカミシマが赤子であった頃より遥か以前、生まれる前の記憶となる・・・。
ゼイウス暦897年・・・
遥かに遠い記憶の中では、周囲が
『オリヴァーよ、
カミシマは遠い記憶の中でオリヴァーと呼ばれ、褐色の肌に長い耳、
少女は
【挿絵:燃ゆる回想】
https://kakuyomu.jp/users/DD113Shirenn/news/16818093076478656021
青年オリヴァーは
「ミュルタレ、私の身体は病魔に侵され、
頼む・・・、奴らに・・・、魂を奪われたくない・・・、私の魂は君に
少女はぎゅっと温かい手で握り返し
握り返された温もりを感じながらオリヴァーは心の中で呟く。
「(すまない、ミュルタレ・・・、シグルズ・・・、アイラ・・・、ミーナ・・・、エリーザ・・・、それにソフィア・・・ )」
心の中で返答があった。
『(オリヴァー様・・・、
「(ソフィア・・・、いや、本当に今までお前には助けられた お前を
ソフィアと呼ばれた存在はカミシマの脳内に
ゴボッと吐血がこみ上げてくる。
「・・・ミュルタレ様、ありがとう 」
オリヴァーはまるで
少女がそれを聞き届けるとオリヴァーの胸目掛けて短剣を振り下ろし、オリヴァーの意識は闇の中に消えていった。
意識が消える間際にオリヴァーは
「このバカ
そんな
そう、カミシマには前世の記憶があったのだ。
それも時代も歴史も
工場長に呼び出されたカミシマはエアコンの
事務所と工場建屋は同じ敷地内ではあったが、建屋は別々だったので初夏の夕日に照らされながら歩いていかなくてはならなかった。
そんな作業着を着て
「(ソフィア、OP100
すると心の中で返答があった。
『(了解です、オリヴァー様 情報をピックアップします
「(あぁ、それで頼むよ、ソフィア)」
カミシマの脳裏には圧縮された情報が展開され、視界にはまるで現実と仮想現実が融合したようなAR映像が表示された。 カミシマの
カミシマには前世の記憶とともに前世の少年時代より
その相棒は前世と変わりなく情報収集、情報処理、情報表示をサポートしてくれていた。
そして、その相棒こそカミシマにとって前世が
「はぁ・・・、それにしても今日の合コンはキャンセルしないと・・・
絶対残業で遅くなるな」
カミシマは腕時計を確認すると、ソフィアが主観視点上に表示してくれた時刻は意識しなければ
『(はい、作業時間は最低でも2時間以上が見込まれます)』
「(あぁ〜あ、そうですか・・・)」
一心の信頼を置く相方からの忠告とAR映像が示した「作業時間 2時間15分」を確認して
____________________
【登場人物詳細】
カミシマ・トオル
https://kakuyomu.jp/users/DD113Shirenn/news/16818093076287572315
ミュルタレ・マリアージュ
https://kakuyomu.jp/users/DD113Shirenn/news/16818093076362309389
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