第34話 魔王城のダンジョンは甘くない!? 視察団到着!
二層の宿屋はどうなっているのかと言うと――金がたんまりある冒険者は温泉宿に泊まり、疲労回復効果の高い温泉に美味い食事に美味い酒で舌鼓を打ち、どんちゃん騒ぎはNGだが、楽しく過ごして寝たようだ。
高級ホテルでは食事は出ないが出てすぐにコンビニがあり、そこで好きなものを購入してホテルの自室で食べて、備え付けの個室シャワールームで汗を流し身ぎれいにしてからベッドで眠る。
疲労回復効果の高いベッドで寝る為、起きた時はスッキリだろう。
普通のホテルに泊まった者たちも自分の食事はコンビニで購入し、チームで泊まったりパーティで泊まったりして5人部屋6人部屋も多く埋まり、風呂は各自好きな時に入って寝るスタイルだ。
若干疲労効果の高いベッドを使っている為、多少なりと疲れは取れるだろう。
「え、カプセルホテルに入ったら3日以内に追い出されるのか……」
「残念ながら」
「くそ、もっと金を稼げってことだな!!」
「そうなります。追い出されるまでの間はコンビニの食事はOKですし、カジノも全く問題ありませんが、三日以内に追い出されます」
そう説明を既に受けている者たちがいた。
かけ事に大負けした者たちだ。
ホテル料金を支払えない冒険者たちは渋々カプセルホテルに泊まり、シャワールームとトイレだけは有る為、コンビニで食事を購入しホテルで食べてシャワールームで汗を流し狭い個室で寝る。
ここで三日以内にダンジョンから追い出され、また一から金策して貰って戻ってきて貰う予定だ。
まぁ、戻ってこないという事はないだろうと思うが、コンビニの味が忘れられず来る可能性の方が高いねぇ。ヒヒヒ。
こうして三日ほど様子を見た所、キッチリ三日後にはカプセルホテルに落ちた奴らは外にワープで追い出され、再度入るには金策しないと入れない。
往復便のデュラハンに乗って最果ての村まで戻って貰い、後は自由だ。
冒険者の先の事? そこまでアタシがなんで面倒を見ないといけないのさ!
と、まぁ追い出された冒険者を見て「稼がないと追い出される」と言うのは嫌でも噂となって広がり、賭け事に集中する者たちであふれる。
無論ゲーセンで金を使うのも大きな役目があり、意外とゲーセンで楽しんでるやつらの方が【魔王城ポイント】が高いかもしれないね、ヒヒヒ。
だが――どちらにせよ金は賭け事でもしない限り増えはしない。
なんだかんだと最後は賭け事に走るのだ。
無論、ゲーセンでたんまり金を使った奴の台は、多少出るように軽く弄られている。
減る時は減るがね。
「三日間見てきたが、まずまず……。キヌマートの店も大繁盛だし、他の飲食店も大繁盛だ。雇ってるドラゴン達が金の眩さに生唾が凄いらしいからねぇ」
「その様ですわね」
「実にいい感じかと」
「フォルさんも魔王領で暮らしてみたいと言っていましたね」
「神力持ちにはちときついだろうよ」
「ですよねぇ」
「あの、カナデさん後で鏡を見せて貰っても?」
「ああ、後で俺の部屋に来てください」
「む、わたくしも行きますわ」
この三日で分かったが、ピアとミツリはカナデの事が好きらしい。
おやまぁ……とは思ったものの、当のカナデは今魔王城のダンジョンの事が楽しくて色恋沙汰には興味がなさそうである。
ピアの視点も興味深いらしいが、ミツリの視点も楽しいらしく、今は奴隷にされていた分だけを楽しむと決めているらしい。
女性二人がお互いに負けまいとアピール合戦をしている訳だが、二人に日の目がさす日がくるのかねぇ……。
トッシュとフォルはまた良い仲らしく、アタシ達といない間は自由にしていいと言っている為、最果ての村に居る事が多い。
髪を切ればいいのに、フォルから勿体ないと言われて切れないのだとか。
惚れた女にそう言われちゃ切れないだろう。こっちは上手くいって欲しいもんだね。
さて、うちの面々はそんな感じだが、未だに三層に行けている冒険者はいない。
行ける猛者が現れれば凄いことだが、まだ三日だ。
三層の奴らにも、早くて一か月はかかるだろうと伝えている為、のんびり過ごして貰っている。
しかし、その翌日――思わぬところから連絡があった。
「ドワーフ王国と、エルフ王国からかい?」
「新しいダンジョンを見て回りたいそうですが」
「アタシが魔王とバレると不味いんだよ。モーダン、案内を頼むよ」
「畏まりました」
こうして面倒ごとをモーダンに押し付け、最後の日に会う事となったのだが、魔王らしい衣装を着て欲しいとの事で、アタシに似合う絹のスリットの入ったドレスを一着に煌めく艶の黒のハイヒールを購入した。
美魔女が妖艶さを放ったって感じかね。
今でも十分だと思ったが、多少なりとオシャレくらいは楽しまないとねぇ?
こうして二日後、やってきたエルフの視察団とドワーフの視察団だが、エルフとドワーフと言えば仲が悪い……と相場は決まっているのだが、この世界ではそうではない。
お互い競い合う好手と認めていて、仲は良いのだ。
数日ばかりはアタシも城の自室にて優雅に過ごし、カナデの持ってくる鏡を見ながらダンジョン内を見せて貰い、視察団がゾロゾロとコンビニでいくつか買い物をしたり、ドワーフたちが酒屋に入りたそうにしていたが、「後でいくらでも飲んでいいそうなので今は我慢為さってください」とモーダンに言われて我慢していた。
二層の案内、三層と五層の案内が終われば、晴れて魔王城へとワープして来る。
そして魔王城の玉座の間にアタシが移動し、何時のも面々を並べて待っていると、重々しいドアが開いて視察団が入ってくる。
「な! 人間ではないですか!」
「おやおや? 人間が魔王になってはいけないなんて決まりはない筈だよ? 80歳の若造が」
「!!」
そうエルフの視察団のリーダーであるノンダにアタシがケラケラ笑いながら口にすると、80歳で若造と言われるとは思っていなかったのだろう、震えて顔を赤くしているが――。
「魔王様は現在104歳で御座います」
「「「ウソだろ!?」」」
「スキルのお陰で若返ってるだけさね。ようこそ、我が魔王城へ?」
笑顔で告げると使節団も襟を正して膝をついて挨拶をし、どんな話が飛び出るのか楽しみにしていると――。
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