【一部改稿済み】魔王召喚したら、異世界からとんでも婆さん現れて!!~大正生まれの婆様は有言実行で止まらない!~

udonlevel2

婆さんは若返り、銃を片手に冒険者を狩ってレベルアップだよ!!

第1話 美魔女の正体は104歳大正生まれのお婆ちゃん!?

――聞こえてくる『勇者』たちの罵声。

騒めく市民や冒険者達……。それもその筈、たった数分前に勇者達が壊す筈だったダンジョンを崩壊させてやったんだからねぇ!!

勇者たちは酒場のマスターに詰め寄り、いきり立って捲し立てている。

まるで自分たちこそが正義だと言わんばかりだねぇ!

その正義がどれだけ泥水の中のように汚れているのか、判っていないんだろうね……。



「だ――か――ら――よおおおおお!! なんで俺達が来る前にダンジョン壊すかなぁ!?」

「いえ、ダンジョンには今日はBランクしか入っておらず……。彼らも命からがら下層から戻ってきたばかりで!!」

「じゃあ誰がダンジョンコア壊したって言うのよ!!」

「可笑しいじゃない!!」



その言葉にアタシはハイエーナキャンピングカーを取り出すと、トッシュトリスの従魔であるレジェンドスライムのタリスに運転をお願いして、タリスから分裂したトリスは、勇者に無理やり奴隷に落された、大事な【魔王の曾孫】の保護をお願いし、他、連れて歩いているピアリア、そしてこのダンジョンで仲間になった元奴隷の獣人の子、トッシュトリスが車に乗ったのを確認してドアを閉める。

スルリと運転席に乗り込み窓を開け、身体を乗り出すとスナイパーライフルを取り出し――。



「タリス! 多少荒い運転でも構いやしない。吹かして勇者を狙いな!!」

「我、了解した成り!」



ブフォオオオオン!!!



という音と共にタイヤの悲鳴が鳴り響き、アタシはパンパン!! と空に向けて発砲した!

途端木霊す悲鳴や鳴き声、スライムが運転するハイエーナなんてイカスだろう!?

ギョッとした目でこっちを見る三人に狙いを定め、先ずは回復役の脳天をダムダム弾で撃ち落とし破壊すると、つんざく悲鳴を上げたのは魔法使いだった。

続けて魔法使いの脳を狙い撃って撃ち落とすと、ゴドン!! と目を見開いて涙を流したまま地面に倒れる。

怯え腐った勇者は生意気にも盾を使おうとしたが――そんな盾は通用しないんだよ!!



「喰らいな!! あの世で悔やめ!!」



ダムダム弾ではなく貫通力の高い球を用意して一気に脳天を狙い撃ちするとクリティカルヒット! そのまま3発ほど脳天にブチあてれば勇者は脳汁吹き出しながら地面に倒れ、つんざく悲鳴が木霊する。

そして勇者とその仲間二人をハイエーナで踏みつけて車を停めると、既に移動したトリスが横の扉から呆然と返り血を浴びて立っている曾孫のカナデを捕まえて車に引き込み、アタシはサングラスをかけ直して一気に死体の上でタイヤを急速回転させながら吹かし走り去る。



「ちょいと揺れるよ、身の安全に注意しな」

「「ひいいいい!!」」

「我! 魔王の曾孫を守る成り!!」

「我! 従者二人を守る成り!!」



そう言って身体に取り込むと、激しい揺れでもスライム中なら平気へっちゃら。

ドンドン吹かして飛ばし、途中歩いている冒険者を数名撥ねたが――。



「あ――経験値はうまいけど、アイテムが取れないのが残念だねぇ、ひひひ! さて、5分ギリギリは此処だね」



そう言うとギャッとサイドブレーキを使って車を停め、タリスから孫を引き抜かせ奴隷の首輪を魔王権限で外す。

持ち主が死んで5分以内なら、奴隷の首輪は意外と簡単に外せる仕組みになっているのだ。

無論、魔王権限、もしくは聖なる力の強い者でないと開けられない仕組みだがね。

しかも、大体の冒険者や勇者ってのは、ホームって場所で生き返る。

たった5分の間にやるべきことをサッサと終わらせないといけない。


魔王権限で奴隷の首輪を曾孫から外すと、ハイライトの消えた瞳に色がにじみ出てくる感じがする。

何度か瞬きをすると、ハッとした顔をしてアタシ達を見回し、見慣れた車に乗っているという事もあって困惑しているようだ。



「カナデ。アタシが解かるかい?」

「え、え??」

「魔王召喚でこっちの世界にやってきた……アンタの曾婆さんだよ」

「嘘でしょ!?」



盛大に驚かれてしまった。無理もないねぇ……昔はこんな美魔女とは口では言っていても理解はしていなかったからねぇ。



「どうだい? 40代のアタシは美魔女だろ?」

「は、え……あ、うそ……曾婆ちゃん?」

「何はともあれ、アンタを無事保護できてよかったよ……。全く、【魔王】であるアタシの曾孫が勇者ご時の奴隷なんて、格好がつきやしない」

「ま、おう?」

「魔王」

「えええええええええ!? なんで、どうして!?」



さてさて、驚いている曾孫には悪いが、ちいっとばかり過去の話でもしようかね。

アタシが何故ここにいるのか、何故【104歳でありながら若返って魔王になっているのか】をね。



「話せば長くなるんだけどねぇ――」



そういうと、アタシは立ち上がり曾孫の背筋を伸ばして語り始めた――。



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