第39話 海老浴の驚異

春の訪れと共に、温泉宿ではまた一つ奇妙で楽しい出来事が起こった。この日、宿の主要な温泉の一つが何故か海老でいっぱいになっていることが発見された。初めて目にしたスタッフとゲストはその光景に驚きつつも、この珍しい現象に興味津々だった。


エイルーンの冷たい春の話題がまだ宿内に残る中、海老が主役となった温泉は「海老浴」と名付けられ、新たなアトラクションとして注目を集めた。カナタとミナはこの珍事件の原因を究明するために、さっそく調査を始めた。


調査の過程で、カナタは地下水脈が近くの海域と何らかの形で繋がっていることを発見し、特定の条件下で海から海老が温泉へと流れ込むことがあることが分かった。この発見は、宿の地理的な特性と自然の不思議さを再確認するものであり、ゲストたちにとっても興味深い話題となった。


ミコトはこの機会を活かすことにし、海老浴を宿の特別イベントとして正式にスケジュールに加えることを決定。宿の料理人たちは、この海老を利用した特別メニューを考案し、温泉でリラックスした後の食事でも海老の美味しさを楽しめるようにした。


海老浴の日は、特にファミリーや子供連れのゲストに大人気となり、子供たちは温泉に浮かぶ海老を捕まえるのを楽しんだ。また、アミアがこの日のために特別に作曲した「海老舞曲」を演奏するコンサートも開催され、温泉宿の夜はさらに華やかなものとなった。


この珍しい海老浴は、他では体験できないユニークな魅力として、多くの新しいゲストを宿に引き寄せた。温泉宿は次第にその名を広め、多様な文化活動と自然の不思議を融合させる場所として、さらにその地位を確固たるものとした。


海老浴の事件は、温泉宿の新たな伝説として語り継がれ、季節を問わず訪れるゲストに楽しい驚きと発見を提供し続けることとなった。

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