個々

陰陽由実

個々

「色」なんて単語は、類義語として「個性」があると思う。

単語だけ見ればなんの関係もないというのに。


人の性格だかなんだかを最初に色に当てはめたのはどんな人物なのだろう。

知的で聡明な人だろうか? 逆に滑稽でどうしようもないほど阿保な人かもしれない。

それでも、多くの人がたとえのひとつを口にしようとしたときに個性について色を持ち出そうと思いつくくらいには、それは多くの人に納得され、受け入れられ、浸透するくらいには言葉が人々に染み付いたということだ。


ところで私は水色が好きだ。

もっと言えば浅葱あさぎ色が好きだ。

それでも「浅葱色が好きです」なんて人に言おうものなら、大抵の人は理解できずに「それって……何色?」「どんな色?」と困らせてしまう。

故に私は色味がよく似ており、かつ言葉がよく浸透したものに置き換えて人に伝えている。よりニュアンスを近づけたいなら「ブルーグリーン」と言うだろう。

人の無知を晒し笑う権利はないが、細かなニュアンスがなかなか通じないのは歯がゆいものがある。


そんな私の好きな浅葱色──もとい水色は、どうしても負のイメージを負いやすい。

もちろんカクヨムのアプリのアイコンをはじめとした、デザイン的要素ならば他の色と等しく素晴らしい仕事をしてくれるが、悲しみを表したいならうってつけの色合いだ。

色に感情を当てはめられているのである。

誰がどうしてそんなことをしたのか知らないが、それは他の色とてそうだ。良いものも悪いものも、等しく色に当てはまる。

早い話、色にも個性があるようだ。

もちろん細かな部分は国籍や文化が違えば変わることもよくある。

ある国では貴族のような、より高い階級を表す尊い色であるくせに、別の国では悪魔のような、より禍害を示す色であることも珍しくはないのである。


そんなわけで、私は「色」の類義語には「個性」があると時折感じるのである。

また、「個性」の類義語にも「色」を当てはまるべきなのかもしれない。

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