クリームソーダ

 はじめて入った喫茶店で、その子はクリームソーダを注文したの。


 わくわくしてた。


 大きなグラスに入ったメロンソーダ。その上に乗ったアイスクリーム。


 たくさん浮かんだ氷も、とても魅力的に映っていたのに


 シュワシュワのメロンソーダは、ストローによって押し入れられたアイスクリームと反応して、グラスからあふれてきて……


 滝のようにグラスからあふれる

 あふれる

 あふれる

 勢いよく


 踊る氷がそれを後押しして

 あとから あとから

 シュワシュワと

 あふれる あふれる。

 こぼれてくる。



 はじめは驚いて、

 少し面白がってもみたけれど

 次第に泣きそうになって



 止まらないクリームソーダの滝


 机の上に広がる白と緑の入り混じった泡、泡、泡


 泡が消えたら、残る液体



 お手拭きもベタベタになってしまって


 きみの顔も くしゃくしゃになってしまって


 グラスに残されたメロンソーダは、ほんのわずかだったね。


 泣きながら、アイスクリームをすくって食べたね。


 それ以降、クリームソーダは頼まなくなった きみ。


 甘いはずのクリームソーダは、

 苦い思い出になってしまったね。


 苦い涙を飲み込んだなら。



 大きくなったら、カフェ・オレを頼もうか。


 🍈




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