第57話 対魔人に対する考察
●ディーブル伯爵領内 民家 大部屋
俺は、宿屋の店主に伯爵から押収した装飾品を握らし民家を数日借り上げた
その民家の大部屋に守護聖達を召喚し実験により判明した魔法の根幹について情報を共有する
「・・・・・という事だ、ゼレニスがシェーンブルンの子供らを魔人化させた事も踏まえて考え、この世界の魔法は血縁に依存する事も、俺が魔法を発現出来ず捨てられた事もこの俺の仮説が正しいと定義できる」
「つまり、本来なら主様には魔法が顕現してたはずが、何者か...おそらく魔界樹ゼレニスでしょうが、魔法種子を抜き取られ意図的に魔法を顕現しない様にされた・・・そういう事ですね・・」
俺はファリスの的確な認識に黙って頷く・・・
「「「「・・・・・・」」」」
守護聖達は黙って各々が思案してる様だ・・・特に魔人アルカミルと直接対峙したダキとミホークの表情は浮かない
「あ、主様・・・・その話が事実となれば、あの魔人は此れから先も・・・」
ダキが不安に感じていた事を口にする
「それは、どうかしら?」
パンドラがダキの狐耳を軽く撫でながら妖艶な笑みを見せる・・・
「どういう事?主様より発言を許されているのだから、思ってる事があるならこの場で説明なさい」
ファリスが少し強めにパンドラに告げる、相克となる為かファリスはパンドラに対し少しライバル視してる節が見受けられる、お互いに知性的な位置づけの精霊なので自分の想像が及ばない事を知ってるパンドラに対し露骨に嫉妬してるのだろう・・・
「フフフ・・・ロン様?私の方から説明しても?」
俺にはパンドラの思考が未来視で読み取れるので、既に理解しているが敢えてパンドラの口から説明させる
「では・・・・まず、魔法使いから魔法種子を抜き取ると言う事は、このゼレニアスから一人魔法使いが消えると言う事・・・そして魔法種子が抜き取られ魔法が使えなくなった魔法使いの行きつく先は・・・」
そういうと、パンドラは俺の方へと視線を向け、他の守護聖達も促されるように俺の方へ視線を向けパンドラの言わんとする事を理解し表情が曇る
そう、魔法の使えない魔法使い・・・つまり貴族は無能者、不要者とこの世界から排除される未来しか無い
当然その先には、血統因子を後世に残す為の種族繁殖などはあり得ない
つまり、魔法の種子を一つ潰す事によってゼレニスの手駒が一つこの世から消えて無くなる・・・
それは、この世界の創造主たる魔界樹ゼレニスにとっても世界の根底を揺るがしかねない
「つまり、魔界樹ゼレニスにとっても、魔人化させる事はリスクが有ると言う事になるのよ」
「成程・・・あの場では主様を討てるならと、リスクを取って魔法使い3人分を犠牲にして魔人化を決行したって事なのね・・・」
「ええ、ロン様さえ討てればゼレニスにとっての脅威は無くなり、また年月をかければ魔法使いを増やす事は出来ると・・・・」
「そう・・・だから何処までリスクを取るか・・・は、ゼレニス次第・・・と言った感じなのね」
そう、パンドラの説明を聞いても判る通り、ゼレニスの腹つもり次第な部分が大きく魔人の脅威が無くなる訳では無い事は全員が理解している
「まぁ俺の見立てでは、ゼレニスが大事にしてるのは、この世界であってこの世界に生きる人間では無いという印象だ」
「俺から魔法種子を抜き取り、ゼスに植え込んだのもゼスに特別な思い入れが有った訳では無く、あの場で魔法の種子を持ってない人間で一番近くに居たのが、たまたまヤツだった・・・そんな所だろう」
おれは椅子に腰かけたまま足を組み換え両手を軽く握り、守護聖に向かって不敵に笑って見せる
「まぁゼレニスの世界を否定し嫌悪していた俺に対し、一番効果の有りそうなゼスの野郎をあてがったって理由も有ったのかも知れんがな・・・ククク、話した感触だが性悪な性格だと感じたしな」
「何れにしろ、中級レベルの魔法使いでは俺たちに対処できないと分かったゼレニスのヤツが、今後は魔人をぶつけて来る事は容易に想像できる」
「魔人・・・」
ミホークは俯き不安そうな表情を見せ、それに気づいたダキもミホークの背中に手を置き思い詰めた表情を見せた
「魔人は脅威だ、だが俺に一つ考えが有る・・・・」
俺はその場にて、対魔人の策を守護聖の皆に伝える・・・・・
●クロプシュトック侯爵 侯爵邸
「「「「おかえりなさいませ旦那様」」」」
十数名のメイドが顔面蒼白にしながら自領に急遽戻って来た侯爵を迎えた
「邪魔だ!!」
クロプシュトック侯は、そんなメイドたちを突き飛ばし、足早に自分の書斎へと籠る
書斎に入ると、膨大な書物を片っ端から手にとっては数ページ捲り目当ての書物で無いと足元へ抛り捨てる
「これでも無い・・・これも違う・・・これじゃ無い・・・」
侯爵は一心不乱に書物を探し書斎の中を歩き回って・・・
コンコン♪「貴方・・・私ですドリネールです」
「なんだ!、私は今忙しい後にしろ!!」
書斎に散乱した書物の山をみて驚くのは、白髪交じりの中年の女性・・・クロプシュトック侯爵の妻のドリネ―ルだ・・・
「貴方・・・これは一体・・・」
「誰が入って良いと言ったぁ!!今お前の相手をしてる暇は無い!!出て行け」
「!?あ、貴方・・・一体どうしたの?!」
ドリネールは散乱した書物を一つ手に取り背表紙を目にした
『各地の悪霊伝説』
本を手に旦那であるクロプシュトック侯爵の様子を見つめるドリネールは、目を血走らせ鬼気迫る雰囲気の旦那を見つめながら言い知れぬ不安を感じていた
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