第49話 中級レア魔法 VS 精霊術
〇シェーンブルン子爵領 交易街 中央広場
「いいねぇ~お前等には俺も炎と氷の力でお相手してやるよ、俺の精霊術が上かお前等の中級レア魔法が上か、勝負してやるよ」
呪言を使わないと宣言したものの。得体の知れない俺の言葉など信頼に値しない
「警戒して様子を見てるのは構わないが、そのままだとカミル君は永遠とその状態だよ?まぁ他に助ける方法としてその剣をへし折るかカミル君の腕を切り飛ばすかしたら良いんだろうけど」
「少しでも衝撃を与えるとカミル君の細~い首に剣の先が突き刺さっちゃうかもねぇぇ~クククク」
二人はカミルの方をチラッと見てから俺に向かって殺意の籠った表情を向けて来る
「このゴミがァァ【アイスクル サイズ!!】」
アリシアが氷の結晶を纏った鎌の刃先を鋭く俺に向かって振り下ろす、俺は後方に少しだけ飛び避けたが
「ほうぅ・・・俺の身体にキズを・・・」
良く見ると胸のアタリに切り傷が出来ていた、背後に控えるダキとミホークは今にも双子の姉妹を嬲り殺しそうな殺気を放っているが俺の命令は絶対なので悔しそうに唸っている」
「ふふふ、二人とも案ずるな多少歯ごたえも無いとつまらん」
「舐めるなァァ【ボルケーノ スパーダ!!】」
今度はアルシアの振るう鞭が大きくしなり、先端の刃物になってる部分が赤く熱せられ周囲の景色を歪ませる、先端部が空中で引きずられる様に勢いをつけ俺の頭部目掛けて横から襲い掛かる
俺は体を低くしてやり過ごした
つもりが・・・・・
「馬鹿がぁ!甘いのよ!!」
アルシアが持ち手を強く引っ張ると通り過ぎた鞭の先端部が俺の方へと戻って来る
「くっ!」
間一髪上体を反らして、返しの鞭を何とか交わしたが俺の頬には浅い切り傷とアルシアのヱンチャッターでマグマの熱を付与された鞭の先端で焼かれ焦げ付いていた
「ロン様!」
「主様!!我等に駆逐せよとご命令を!!」
広場の端から心配そうに声をかけるダキとミホークに余裕の笑顔で手を振って返す
「くくくく・・・この程度の冷気と熱気じゃちっとも燃えて来ないわ・・・アリシアとアルシアだったか?もっと我を楽しませぬか」
しかし手ごたえを感じてる姉妹は余裕の表情を浮かべる
「そういう負け惜しみは良いからさぁあんたのご自慢の炎と氷の術とやらで反撃して見たら?」
「プププ、アルシアどうせハッタリでそんなもの使えないのよ、さっきの精神操作するチャンスを伺ってるでしょ?見え見えなのよ、ば~か!」
全く・・・まぁ呪言では二人とも始末したらって条件にしてるから一人位消えても良いかな
「まぁそうだな、それじゃこっちも行くぞ【雹】(ひょう)」
右手をアリシアに翳すとアリシアの身体に霜が付着する、流石に中級魔法使い耐性もそこそこ有る様だ・・・・が
「アハハハ馬鹿なの?アリシアは【氷舞】氷のレア中級魔法使いよっ、そのアリシアに対し氷の術で対抗しようなんて、頭悪すぎでしょ!!」
アルシアは俺の方を向き馬鹿にしながらお腹を押え笑ってる
「アリシア姉様ぁぁぁ!!」
そんな中奥で自分の首に剣を突きつけた状態で跪いてるカミルが悲痛な叫び声を上げる、その声に反応し振り向くアルシアはその光景に絶句する
「ア、アリシア・・アリシアが凍ってる・・・」
アリシアは自分の体が凍り付くさまを見て恐怖に怯えながら氷漬けになったのだろう、その表情は恐怖そのものを凍り付かせたものだった
「待ってなさい!!直ぐに溶かして・・・【ボルケーノ】」
「ダメだぁぁアルシア姉様ぁぁぁ」
ビシッ・・・
カミルの制止も間に合わず、無作為に高温で熱した為、凍り付いたアリシアの頭部に亀裂が入り
パリッン!!
甲高い音と共にアリシアは砕け散り、熱せられた床に足首だけが残された
「いやぁぁぁぁアリシアぁぁぁ!!」
「姉上ぇぇ!」
無残な残骸に駆け寄るアルシアは半狂乱で身動きの取れないカミルもその様子に絶望する
「おいおい、戦いは未だ終わってねぇぞ?」
「てめぇぇ!!クソゴミ虫がぁぁ【ボルケーノ・スパーダ!!】」
振りかぶった鞭の先端が蛇の様にしなり、俺に向かって飛んでくる
【溶解】(ようかい)
右手で鞭の先端部を掴むと右手に火の小精霊を集める、すると鞭の先端の刃具の部分が溶解して溶け落ちる
「なっ!?ミスリルが溶けるだとぉ!?」
「残念だったなぁお前の妹の氷の力もお前の炎の力も俺には及ばないようだな~あばよ!!【溶解】」
再び右手をアルシアに翳し精霊術を放つと、アルシアの足元から炎が立ち上る
「ヒィィィ熱いぃぃ何これぇぇレジスト(耐熱)出来ないぃぃ体が燃えるぅぅ」
「ククク、ほれほれレジストが追い付いてないぞ?もっと力を入れろぉぉ」
「いやぁぁぁカミル!!水魔法で火を消してぇぇはやくぅぅ」
自分の喉に剣を突きつけた状態で視線だけアルシアに向け悔しさと恐怖で涙を浮かべるカミル
【ウ、ウオーター!!】
ジュ―———と言う音と共に水蒸気が立ち上る、先ほど両親へトドメをさしてしまった時の失敗を教訓に直接では無く床面に向かって水魔法を撃ちこむ
「中々の手並みだな・・・カミル君、もっと熟練すれば名のある水魔法の使い手になったかもしれないな」
・・・・・だがしかし・・・アルシアに当てない様に調整された水魔法よりも俺の精霊術の熱量は遥に上回っており鎮火どころか勢いすら殺せない
「・・・・残念だな・・・姉の丸焦げの完成だぁクククク」
既に火は消えていたが、蒸気の収まった後から現れたのは真っ黒に焦げた人の姿だった
「!?あ、姉上・・・・・っ!!!」
姉の死を認識した瞬間カミルは自分の喉を剣で突き刺し、悲鳴を上げる事なく鮮血を撒き散らし絶命する
「主様・・・少し肝が冷えました・・・」
「ロン様?」
シェーンブルン子爵の姉弟達を始末したにも関わらず周囲を警戒する俺をミホークが疑問に感じ声をかける
「なぁ・・・いい加減出てきたらどうだ?」
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