第3話 初めての友人
エストは屋敷に帰ると、兵隊に少年を自分の部屋に運んでもらった。
「慎重に運んで下さい、よろしくお願いします」
兵隊は少年をゴミを運ぶかのように襟を持って引きずって運んだ。
「若様、指し出たことを申しますがこの様なゴミをお屋敷に運んだ上、若様の部屋に入れたなど旦那様がどう思われるか・・・」
兵隊は自分に飛び火しないかと、何度も念押ししてエストからの命令でやもなく従っていると主張を繰り返した。
「勿論、貴方は私の指示に従っただけです、父上にもその様に伝えます」
エストからの言葉を聞いても、やはり気乗りしないのかため息を付きながらもイヤイヤ指示には従ってくれた。
「少年を私のベッドにお願い出来ますか?」
エストは自分のベッドを直すと兵隊に頼んだが
「流石に、それはやり過ぎかと存じます。私もそこまで手を貸す事は出来かねます」
嫌悪感を隠そうともせず、兵隊はエストの部屋に少年を放り投げると、エストに一礼して部屋から出ていった。
エストは少年の脇を抱えて何とか自分のベッドに寝かすと、タンスから体を拭く布を取り出し、ベッド脇の水差しから水をかけて湿られて少年の汚れた顔を拭き取った。
しばらくして、ある程度汚れが拭き取れた頃少年が目を覚ました。
「…ここは?」
虚ろな目を左右に動かし少年はエストと目が合った。
「!?」
少年はエストを認識すると、ベッドから飛び降りて土下座した
「貴族様の寝所で寝るなど、大変申し訳ございません!」
ごんごんと床に何度も頭を打ち付けエストに許しを請う
「無理をしてはいけません!傷口が開いてしまいます!」
エストは少年の肩を抱き土下座をやめさせた
「僕の名前は、エスト フォン ローファット、ラウンド フォン ローファット伯爵の息子です。良かったら君の名前を聞かせてもらえないですか?」
少年はエストの顔を見上げ
「私は、ゼスと申します」
「ゼス・・とても良い名前ですね、それではゼスどうかゆっくり休んで下さい、後の事は気にしない様に僕の方でやっておきますから」
ゼスは淡い金髪で茶色の瞳をもつ少年だった、エストより少し年上なのか身長はエストよりも大きい、幼さは残るが十分整った顔つきで手足のあちこちに沢山ある小さなキズが生活の苦労を物語る
エストはそんなゼスの肩を優しく抱き上げると、再びベッドへ寝かしつけた
「ゼス、君の事は僕が守りますから、どうか安心して寝てください、元気になったら僕と友達になって下さいね」
安心して眠りにつくゼスを眺めなからエストはゼスとの友情が芽生えると信じて、彼の為、精一杯尽くそうと誓う。
後書き:書いてて気付いたんですが、1章から激鬱展開です虐待、暴力、性的な描写、もしかしたらレーティングに引っ掛かるかもしれませんがご了承下さい
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