第13話・十数年越しで建造された弩級超巨大戦艦とメタルスーツの女刑事②
超異世界女型要塞【プルシャ】姉型が、宇宙空間でビキニアーマー姿の女型に変形した。
宇宙に浮かぶ巨大な女に度肝を抜かれた、弩級超巨大戦艦のビーム攻撃が止まる。
船外に出た三ツ首ロボットのガルムが、廃棄されていた巨大戦艦を押して、プルシャの前に移動させると、プルシャは片手を廃棄戦艦の船尾に突っ込んで腕に装着させた。
そして、宇宙で。
「喰らいなさい、廃棄戦艦アタック!」
そう叫ぶと片腕に装着した廃棄戦艦を、弩級巨大戦艦の艦壁にブッ刺した。
廃棄戦艦を残したまま腕を引き抜くと、船内の人工ビーチで仮想体プルシャが、筐体台の上に立ったカミュに言った。
「今ですミラクルタキオンビーム発射、カミュさんお願いします」
「任せろ、うりゃあぁぁ!」
オーバーテクノロジーと、異世界のパワーが融合した『ミラクルタキオンぶっ飛ばし異世界砲』が廃棄戦艦に命中する。
内部から爆破大破する弩級超巨大戦艦。
異世界人の誰もがやった! と思ったその時──爆発する弩級超巨大戦艦の中から、一回り小さい超巨大戦艦が出現した。
『わはははっ、こんなコトもあろうかと、念のために一回り小さい巨大戦艦を忍ばせてあったのだ! さあ、どうする愚民ども絶望しろ!』
プルシャが二発目のミラクルタキオンビームを放つよりも早く、戦艦に向って飛んできた。
星型小型艇の上に立っていた、スター・アニスが愛刀の異世界魔刀を鞘から引き抜く。
魔刀から自動音声の声と必殺技名が響く。
『魔王剣アニス一刀両断〝またしょーもないモノを斬ってしまった〟』
巨大戦艦が真っ二つに切断されると、その中からさらに、一回り小さい宇宙戦艦が出てきた。
『わはははっ、ど、どうだ。こんなコトもあろうかと念のためにさらに一回り小さい宇宙戦艦を忍ばせておいたのだ……今日のところは見逃してやる、これ以上。我が最強戦艦を爆破させたり斬ったりするなよ……いいか、絶対に攻撃を仕掛けるなよ……絶対だぞ』
独裁者は自分の名前も、自慢だった弩級超巨大戦艦の艦名の命名もできないまま、緊急亜空間プチ跳躍で逃げて行った。
◆◆◆◆◆◆
亜空間プチ跳躍の最中の、小型の戦艦の艦内──独裁者は近くに散乱しているヌイグルミに当たり散らしていた。
「ちくしょう! 晴れ晴れしい侵略侵攻の記念すべき日が台無しだ! 建造に何年かかったと思っているんだ。あのデカブツ要塞船女と田舎星域の女宇宙刑事の野郎! 神に逆らいやがって!」
荒れている独裁者を、離れて眺めている兵士たちの視線は、独裁者の背後に立つ蜃気楼のような男の姿に注がれていた。
揺らぐ姿のカミュが言った。
「てめぇが神だと……ふざけるな、ニセ神!」
カミュの鉄拳が、独裁者の顔面に
幻のカミュの姿が消滅すると、洗脳されている兵士たちは笑顔で。
「独裁閣下バンザイ」を連呼した。
◆◆◆◆◆◆
超異世界女型要塞内の人工ビーチ──カミュがさっぱりした表情で、仮想体プルシャに言った。
「神を名乗るニセモノ野郎を、ブッ飛ばしてやったぜ」
「お疲れさまです」
壁にはメタルスーツ姿のスター・アニスが映っていた。
アニスが言った。
『悪党退治の協力を感謝する、要塞船プルシャのコトは祖父や父から聞いて知っている』
プルシャがアニスに言った。
「引退したお祖父さまや、お父さまの跡を継がれて三代目の宇宙刑事になられたのですね……昔、お会いした時はまだ子供だったのに大きくなられて。メタルスーツを解除してお顔を見せてください」
『できない……入浴中に着衣する間もなく、本船からの緊急強制スーツ転送だったから、今解除するとスーツの下は全裸だから解除でき……あっ、やめろ勝手に解除するな! イヤあぁぁぁぁぁぁ! やめてぇ!』
通信が切られ、壁に夜空の風景が映し出される。
カミュが言った。
「神は死んだ……世界は不条理で満ちている」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます