■の世界は■と君、そしてその他有象無象で出来ている。
頭が痛い。体が冷たい。遠くで誰かが叫んでいる。ぼやける目に映るは一面の赤。水道管が破裂して水浸しになったコンクリートが熱を奪う。
死ぬのかな、と思った。死ねなそうだな、とも思った。すごく眠かったので寝た。
*****
目が覚めた。常夜灯だけが照らす部屋。暗い。視界の端に点滴の管が見える。5パックたぁ豪勢な。心電図のやつ地味に痒いな。そこ迄考えて、ア、死に損なったんだな、と理解した。ので、ナースコールを押した。
バタバタと走ってくる足音。名前を聞かれて呼ばれて、何か色々確認されている。諸々が終わった時にはもう朝だった。
***
眠いな。と眠りながら思う。左手が暖かい。うっすらと目を開けると、祈るように両手で比較的無事な左手を握りしめながら俯く君がいた。座ったまま寝てんなこれ。泣いた跡がある。ちょっと可哀想なことをしてしまったかもしれない、と思った。
でもこの身はなんだか分からないけど死のうとしても死ねなそうなくらい頑丈だし、これ迄と同じようにこれからも死に損ない続けると思うので、いい加減慣れてくれないかなァ、とも思う。
そういえば前にこれを友人に言ったらすんごいドン引きされたのだった。その後色々言われたけど、結局よくわからなかった。ので、昔からよく言われるし、恐らく何かしらが「普通じゃない」事だったんだろうと理解したんだけど、もしかしたら違うのかな。今度聞いてみよ。
“そんなんじゃいつか愛想尽かされるぞお前……”
そんなことも言ってたっけ?おかしいの。自分のものに愛想つかされるも何も無いじゃんね。ずっと一緒だったんだから、これからもずっと一緒なのは当然の事では……?
でも普通の人からすると違うみたいなので、家族にでもなっておけば大丈夫でしょ。なんか知らんけど家族だと別になるみたいだし。ほんと変な人たちだよね、普通の人?って。
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起きないな、こいつ。思いついたらすぐやりたいんだけどな。手がぬくいから、起こすか悩む。結局ぬくぬくが勝った。もう一緒に住んでるんだし、起きたら養子縁組でもしよ。うん、それがいい。
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