妖精の夜


冬だ。冬の夜だ。冬の夜がやって来た。


空気は氷のように透き通り、


甘く冷たい匂いがする。


星々は氷柱のように垂れ下がって


眠る街を見下ろしていた。


私は春を待つ土の丘に寝そべって


白い息を吐きながらそれを見上げていた。


目が覚める迄は春だった。


目が覚める迄は夏だった。


目が覚める迄は秋だった。


目が覚めたので冬が来た。


春に恋する冬告精がうたっている。


春告に会えば死んでしまうくせに。


もう一度目を閉じた。


次に目を開けた時、


夏に別れた


春の君に会えたらいいのにと思って。







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