書き起こし2

はい、じゃあもう、話し初めていいですか?

はい、わかりました。お願いします。

私、今は東京に住んでるんですけど、元は●●に住んでました。

住んでたというか、すみませんちょっとややこしいんですが、産まれは〇〇で、私が産まれてすぐに両親が離婚しちゃって、父方の伯父の方に引き取られて、●●に引っ越したってことです。

引き取られたのも小学生の間だけで、その後は父が再婚して、いろいろあって東京に住むことになって、私も半ば強引に●●から東京へ引っ越すことになりました。なので中学からは、ずっと東京です。

すみませんややこしくて…

で、その●●での話なんですけど、私、六年間しかいなかったのに四回も人が亡くなったんですよ。


̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶


あ、そうですね、すみません、●●の●●市●●●町にある●●って村、村?集落かな?です。すみませんうっかりしてて、言い忘れていました…

で、その亡くなった時期なんですけど、みんな梅雨だったんです。

だから私、小学生の間は、この時期にしか人は亡くならないものだとさえ思っていました。それぐらいピンポイントだったんです。

で、それだけじゃなくて、一番気持ち悪いのはその人たちみんな同じ亡くなり方だったんですよ。


̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶


えっと、それぞれの死因?までは詳しく知らないんですけど、場所はみんなトイレで、しかもみんな便器に顔を突っ込んでたって聞きました。

気持ち悪いですよね。だって四人ともですよ?こんなことあります?普通。

なんか、最初の人は、最初の人ってあれですね、あの、私が知ってる限りの最初の人です。

最初の人は、かなりご高齢の方だったっぽくて、みんなの話を聞く限りでは、トイレ掃除中に心臓発作でも起こして、そのまま逝ったのかな?

みたいな感じでした。


̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶


そうですね〜同じクラスのみんなと話してました。まぁ集落なんで、誰かが亡くなったらゴシップになるんですよ、特に小学校では。

今考えたら不謹慎ですね。子供って純粋だけど怖いですね(笑)

で、大概そういうのは、クラスのお調子ものの男子が持ってくるんです。

ああいうのどっから持ってきてるんでしょうね。

その日の朝も「██の婆さんが死んだ!便器に顔を突っ込んでたらしい!」って飛び込んできたんです。

そしたらまぁクラス中、怖がるやら、笑うやら、怒るやらで大盛り上がりでしたね。

でも「便器に顔を突っ込んでた」というワードがやっぱり小学生にとっては面白くて、少しのあいだ流行ワードになってました。

まぁ不謹慎すぎるんで、すぐに禁止ワードになりましたけど(笑)


で、その次の年の梅雨にちょっと怖いことが起こったんです。

なんと、小学校の先生が、学校のトイレで同じ亡くなり方をしてたんです。

これは、学校全体がちょっとただならぬ雰囲気になって、やっぱり「██の婆さんの呪い」みたいな話も出てきましたね。


̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶


いや、結構若い先生でしたね。

二十六か七か、そのぐらいだったと思います。まぁだからって心臓発作にならないって理由には、ならないじゃないですか、でもまぁ不思議は不思議でしたね。


̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶


いや、その先生の死因も知りません。

おおかた、クラスでは心臓発作じゃないかって話にはなってましたけど。

で、その次の次の年にも、また別の人が同じ亡くなり方で。で、その次の年にもまた同じように、トイレで亡くなって。

すみません、最後の二人についてはあまり詳しく知らない人たちだったので、職業とか年齢は詳細は覚えてないです。すみません。


̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶


ありましたね。私も何回か参加しました。

でも、小学生同士の推理なんて、くだらないもんですよ。

なんか、一部の子は探偵みたいなことやって、聞き取りとか現場調査とかしてましたけどね、特になにもなかったみたいです。


あ!そう、で、その会議で、そうそう今思い出した!

その会議の中で、すごくいい線いってる推理出した子がいたんです!

なんか、██の婆さんの家は荒らされてなかったらしいから、身内か怨恨だろう、で、先生も若いし抵抗できるはずなのにああなってたってことは、顔見知りだろうって!

あれ?なんか勢いで喋りましたけど、この推理、めちゃくちゃ当たり前のこと言ってますね。

すみません、忘れてください(笑)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る