書き起こし
枕木
書き起こし1
そうですね、そういった方も時々ですが確かにいらっしゃいます。
とはいえ、初診の段階ではなかなか断定しづらいというのが、現状ですね。
なので当院では、二回三回と回数を重ねたのち、看護師たちと話をして、その後の対応を決定するといった形をとっています。
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いや〜そうですよ。本当にちょっと、信じちゃいそうになることもありますからね。自分でもびっくりですよ。
まぁん〜でも、実際知り合いの大学教授がアテられちゃって、そのまま行方不明になったこともありますからねぇ…一概にありえないとも言い難いですよねぇ…
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あ、その大学教授の話ですか?いや、それはまた今度にしましょう、今しっかりお話しできるほど、覚えてないので(笑)
今日はあれでしたよね、███さんのお話し、えっ名前大丈夫ですか?あ、なるほど、そうなんですね。じゃあそのままお話ししますね。
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あの〜オカルトブームの頃って、結構そういった方が多かったみたいなんですよ。
先輩からもよく話を聞いていたんですけど、最近は陰謀論系が結構増えたみたいで、自分のところにも何度か外来ですが、そういった方がいらっしゃったんですよ。
自分としては、というか医師という立場上ですけど、例えば初診の段階で恐らくそういうケースだなとわかっても、こちらからはなんともできないんですよね。あ、ローゼンハン実験ってご存知ですか?
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そうですそうです。
あれと同じようなもんで、本当なのか、嘘なのか、はたまたそういうケースなのかって、こちらで100%の断定はできないんですよ。
まぁ余談ですけど、〇〇〇の症状と、昔からある●●●に関する陰謀論の言動が類似していて、これって●●●を唱えている方がみんな〇〇〇だった、なんてこともあり得ますよねって話になるわけなんですよ。
鶏卵前後論争的じゃないかって、学会では蹴られたっぽいですけど(笑)
話を戻しますと、自分も最初は███さんは陰謀論のケースかなと思っていたんです。
というのも、初診の際付き添いの方がいらっしゃいまして、看護師が別室で予診を行なっている間に、客観的なお話を伺っていたんですね。
そうすると付き添いの方のほうから
「███さんは陰謀論にハマっている気がするので、多分大丈夫だと思います」
と言われたんです。
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いや、これがたまにあるらしいですね、付き添いの方が医師へ陰謀論って言っちゃうパターン。
どうなんでしょうね、自分としては、あまりありがたくはないと思います。診断の際、バイアスの元になっちゃうので。
だから自分も、話半分でって感じでしたね。
でも、診断が始まってすぐでしたよ。陰謀論じゃないってわかったのは。
陰謀論じゃないというか、███さんを連れてくるべき場所はここじゃないと思いましたね。
なんて言うか…そうですね…まず、笑顔なんです。
これは不思議なことではなくて、不安や症状からそうなられる方もいらっしゃいます。
ただ███さんの場合、笑顔は笑顔なんですけど、なんと言うか、難しいな、引っ張られてる感じ?の笑顔なんです。
顔を左右から無理やり引っ張って、そうそう!そんな感じです。
これもまだ表情筋の緊張から、そうなっているのかな、なんて自分を落ち着かせていたんですけど、受け答えが完全にダメでしたね。
あ、ダメっていうのはそういう意味ではなくて、お手上げって意味です。
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まず、本人に具体的な症状をお聞きするんです。その後、予診と照らし合わせて容態を把握するんですけど、予診の段階がもうめちゃくちゃで。
看護師が「いま、一番困っていることはなにですか?」みたいに尋ねると
「笑顔の女がのぞいてくる」
っていうんですよ。で、他の受け答えでも大体「笑顔の女」ってワードが出てくるんですね。
ね、これちょっと怖いでしょ?いや、自分も最初看護師からこのデータ渡された時、鳥肌立ちましたよ。
でも、言ったじゃないですか、嘘のパターンもあるんですよ。患っているフリをして、例えば手帳をもらったり、お薬を処方してもらったりする方も一定数いますから。
だから自分も、それ相応の心積りで███さんの診察を始めたんです。
ところがまぁ〜そうですね。これは明らかに精神ではなく、ましてや陰謀論でもなく、確実に人間じゃない何かがいるなって感じでしたね。
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あんまり断言したくないですけど、まぁ、うん、あれがいわゆる悪霊とか祟りなんだなと思いましたね。
憑かれてるとも言いますよね、ああいう状態を。
だから極力刺激しないよう診察して、███さんを先に退出させた後に、付き添いの方へお祓いをお勧めしましたね。
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付き添いの方ですか?
いや、全然冗談みたいな感じで、まともに聞いてはなかったですね。
多分、そういうのは信じないタイプの人なんじゃないですかね。
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