僕はこの手を絶対離さない!

葉暮トワ 猫部所属

僕はこの手を絶対離さない!

 僕の名前は東城 憐とうじょう れん

 高校2年生の帰宅部で隣の席に座っている西野 哀にしの あいの彼氏だ。

 周りからはよく頭のいいバカップルと言われる。

 なぜなら、テストの順位は僕が1位で哀が2位だからだ。

 僕たちは幼馴染で、親同士の仲も良く、生まれたときからずっと一緒に居た。

 そして、親たちの話し合いの結果、全てのことに憐れむ哀れむことができる人になって欲しいことからという名前になった。



 幼馴染が付き合って結婚する



 なんて物語の中の物だと思っていた。

 だが、今ではそんなこと無いと思っている。

 僕と哀はこのまま結婚して、子供作って、老後は二人で趣味などを楽しもうなどと話し合っていた。


「今日はどこへ行く?」


「憐とならどこでもいいよ~」


「じゃあ最近できた近場のカフェにでも行こうか」


「うん!そこしよう!」


 それからというもの放課後が楽しみすぎて授業に身が入らなかった。



 ♢



 長かった授業が終わり、やっと下校の時間になった。


「じゃあ行こっか!」


「そうだね!」


 僕たちはカフェまでの時間があっという間と感じるくらい、いちゃいちゃしていた。



 そして、そのときは突然訪れた。



「あれ?なん、か息苦しく、、なってき、、、た、、、、、、」


 哀が目の前でいきなり倒れたのだ!

 僕は一瞬焦ったが、何が起きたのかを瞬時に冷静に判断し、119番通報、倒れた原因の究明などをした。

 これでも一応は医者を目指していて、医学に精通しているからね。

 幸い哀の心臓は止まってはいなかった。

 だが、脈伯が不規則で苦しそうにしていた。

 この症状は最近徐々に増えてきた助かるケースの少ない心乱症しんらんしょうという病気に酷似していた。

 程なくして救急車がやってきたので、同伴者として乗り込んだ。




 病院に着くと、医師免許の持った本物の医師に見てもらい、哀と僕の両親と合流して検査が終わるのを待った。


「非常に申し上げにくいのですが、西野 哀さんは最近増えてきた心乱症であるという検査結果になりました。

 そして、奇跡が起こり助からなければ、もうあと半日も生きられないでしょう」


 僕と哀の両親の嗚咽が聞こえる。

 僕にはもう声を出すことができなくなっていた。

 目から涙をこぼすこともできなくなっていた。

 ただ哀の手を握り締めることしかできなかった。

 もう会えなくなるかも知れないと思うと胸がキュッと締め付けられる。



『運命が哀の手を離そうとも、僕はこの手を、、、哀の手を、、、絶対離さない!』

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僕はこの手を絶対離さない! 葉暮トワ 猫部所属 @hagure_towa

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