第4話

15:00

空っぽな体にchiffon cakeの綿を詰め込んで

口元から木蓮の香りを洩らす


00:00

噎せるような無花果に酔い

硝子の中からリュートを奏でる


03:00

指先に留められていた虫ピンが朽ちる

標本は

群青とラヴァンドを行き交った


怠惰な網膜に 微かな体温が静かに流れ込む


朝、それを告げる碧眼の鳥は

あまりに清らかな手のひらに溺れ

歌を深くに飲み込んだ


歌は

鳥の腹の片隅で

同化しかけた夢見鳥の左頬を撫で


青い涙と共に 再び


chiffonの肌と

17℃に


染みて 消えたのでした


鐘がなる


それはもはや

朝でも夕暮れでも どちらでも良いのです

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詩集 網膜標本 雨宮テウ @teurain

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