色・卒業式の色
京極 道真
第1話 卒業式の色
「在校生の皆さん、先生方、僕らは今日、卒業式します。」
「卒業します。」ハモるモブの僕ら大勢の卒業生。
3年間あっという間に過ぎた時間。輝く壇上には生徒会長の峰岸君が卒業生代表の挨拶を述べている。起立してるモブの僕らにとっては長く感じる時間だ。
横の石田が「峰岸も偉くなったよな。生徒会長になった途端にキラキラなオーラ全開。女子はきゃあきゃあ羨まし限りだ。」
「そうだな。」
「タケル嫌味ぐらい言ってもいいだろう。」
「だな。」えっ?これは僕の相づちではない。誰だ?
「だめだろ。」僕は少し大きめの声で答えてしまった。静かな体育館に声が響いた。
僕は小さくなった。『いいさ。』えっ?誰だ。
目の前に『てんとう虫?』
君は僕が見える?『うん。赤と黒。七つ星てんとうだ。』『当たり。』
僕は小声で石田に「目の前のてんとう虫、見える?」「見えない。」
「そうか。」卒業式の号令と共に今度は僕らは着席。
てんとう虫が僕に話かける。『どう?卒業式。』
『特に思入れがないから、普通だ。』強がりではなく正直な気持ちだ。
『そっか。タケル、お前は冷めた奴だな。お前の色は黄色だ。タケル、同級生達をよく見ろ1人1人色が違うだろう。』
『違うな。』
『壇上の峰岸はキラキラ色だ。我が春状態だ。それから背の高いあいつだ。
スポーツバカって感じの奴。彼は騒がしい性格のようだが、
自分の心にまっすぐで良い性格だ。太陽のように直線でオレンジ色だ。』
『そうか。』
『あと、前の列の奴はだめだ。』『だめはひどいな。』『奴は色がない。すべてを放棄している。青いを通り越して色がない。タケル話しかけてやれ。それだけで彼の未来が少し色がつく。』『ムズイ。無理やり話かける?不自然なことはしたくない。』
『そっか。』
『てんとう虫、最後に黄色の意味を教えてくれ。』
『黄色は子供だ。タケルお前の未来は明るい。』
「卒業生退場」言葉と共に目の前のてんとう虫は消えた。僕はまだ子供なのか?
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