第53話 帝国商人ギルド

「エジサスさーん、大変だよう。勇者がでたんだよう。」


上級ダンジョンの入り口でモンスターニップを炊いていた新興の商人ウックルとペダフルが話しかけてくる。


ここはコスタドガル帝国 帝都サデセブにある商人ギルド。


勇者と聞いて他の商人も集まっててくる。


「えーっ、おまえらあの計画をやっちゃったんだ。」


「ふーん、モンスターニップかー。考えたなー。」


みんな感心している。


「だけどさー、モンスターを誘い出すつもりがさー、出てきたのは勇者一行ってわけー。びっくりしたー。」


ウックルが息を切らしながら説明を始める。


「お前たち良く無事だったなー。」


エジサスはそう言って皇帝からの布告について話しをする。


ウックルとペダフルは真っ青になる。


あれで勇者を起こらせでもしたら帝国は滅んでしまうだろう。


皇帝の布告も納得だ。


国の成り立ちこそ侵略国家ではあったけれど今生皇帝は国や民をどのように豊かにしたら良いかを考える真っ当な皇帝で民の人気は高い。


だから民にもどうしたら皇帝に喜んでもらえるかを考える者が多い。


アイドルみたいもんだ。


「皇帝様、困っているだろうな。」


王国や魔国に手出しをして稼ぐ方法はもうダメだ。


「なんかおもしれえ商売はないかな。」


そのうち「まあとりあえず飲むか。」


って事でギルドの食堂で宴会を始める。


この辺は冒険者ギルドや鍛治職人ギルドも変わらない。


「なんだ、おまえその透明で泡だってるもんは?飲み物か?」


「これ、最近古代遺跡から帰って来た奴が作ってんだ。酒じゃないんだけど口の中でシュワシュワして美味いんだ。オレ下戸だし。」


「蒸留酒に果物入れてこのシュワシュワで割ったら女子供でも飲めそうだし見た目もバえるから売れるんじゃないか?」


食堂のおっさんや給仕の姉ちゃんも一緒になって盛り上がっている。


どうやら勇者の事は忘れてしまったようだ。






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