第36話 ダリオスのダンジョン1

ダリオスは歴史の古い鉱山だ。


元は勇者が太古の巨龍と戦った時に使った戦略級魔法が陥没させた穴だ。


ミスリル鉱が採れた事でその穴をすり鉢状に掘り広げたのだ。


鉱山を取り囲む様に街が出来ている。


また、掘り広げられた坑道は馬車が3台は並んで走れるほど広い。


基本的にうずまき状に坑道は鉱山の中央と周辺を繋いでいるが途中で上下の坑道をショートカットさせたり、階段を設けて縦横に蜘蛛の巣状につながっている。


坑道の壁面には横穴が掘られ商店や住居になっていて独特な街の構造になっている。


この鉱山街の近隣には古代遺跡が変化した中級のダンジョンがある。


ダンジョンの近くには小さな坑道を持った村がある。


ここでも少ないながらミスリル鉱が取れる。


税逃れの隠し坑道みたいなものだが領主は目をつぶっている。


締め付けはほどほどにしないと鉱山で働く人足がいつかないのをわかっているからだ。


「おい、ダンジョンの入り口に見慣れん奴らが集まっているのを見たか?」


村人達が話しをしている。


「おう、なんか商人風の男が冒険者を集めてた。」


「こんな人気のない中級クラスのダンジョンで何をするつもりなんだろうな。」


「毛皮のパンツに着替えたり、顔に緑や青や赤色の塗料を塗っていたよ。」


「仮装大会か?」


「これはな、オレは見た事があるぞ。」


この村に最近流れてきた人足でまだ新米だが物知りと評判の若者だ。


「これはな、びっくりテレビの仕込みをしてんだよ。」


「なんだそれ。」


「最近発売になった魔道具で動画機ってのがあってめっちゃ流行っているだろう。」


「おう、うちも買った。あれはなんだな、ダメだな。」


「オレも嫁もあの機械の前から動けなくなるからな。」


「あ、あれか。いろいろ工夫して人を驚かせて、その様子を見て面白がるやつ。」


「あれ、人気あるよな。」


「あいつらはその準備をしているってわけか。ちょっと見に行こうか。」


「俺たちも出演できるんじゃね。」

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