第11話 コスタドガル帝国
あー驚いた、まさかあんなところに勇者がいるとはな。
レイビシ伯爵はヒーヒーと息を切らしている。
ばれたね、絶対ばれた。
さすがは勇者、帝国の陰謀などお見通しって事か。
勇者召喚がされたとは聞いていたのだけれど、まさかのまさか勇者を誤魔化すための策略の真っ最中に現れるとは思っても見なかった。
恐るべし勇者。
ゴブリンの巣で見た時はそれっぽいかなって感じがなかったわけじゃないんだけどな。
まさか夜襲を察知した上にパジャマのままアジトにやって来るとは驚いた。
あのまま撤収しなければどうなっていたことか。
あれから追いかけても来ないし、一応セーフかなー?
皇帝には当分王国への進軍は無理だと報告しなければ。
魔王や魔族をだしにして軍を動かせば勇者も気がつくまいと思ったんだがな。
すげーな、勇者。
ーーー本当はたまたまなんだけどな。
「あー、そうなんだ。」
レイビシ伯爵の報告を聞いて皇帝はがっくりと肩を落とす。
コスタドガル帝国は元々他国を侵略したり掠奪して出来上がった軍事国家。
長い間勇者によって制限されて来た事で国庫は疲弊している。
国の産業としては農業と軍需産業ぐらいしかないし、農民と兵士が大多数を占めている。
なんとか戦争を始めたいところなんだが。
しばらく行方がわからないで、いないかもって期待していた勇者がいたそうだ。
最近王国が召喚術を使ったとかいう噂があったがそれかもしれない。
余計なことをしやがって。
王国にしたって勇者の存在が目の上のたんこぶなのは同じはずなんだが?
魔王復活とかのデマを流したのをまにうけてびびったのだろうか?
だとすると逆効果だったなー。
あーっ、失敗したかなー。
良かれと思って打った手が裏目に出たみたいで皇帝はかなりへこんだ。
レイビシ伯爵以外の皇帝支持者が忖度して変な動きをして勇者を刺激しなければいいんだけどな。
下手すると死んじゃうからね。
明日にでも「おふれ」をだしておこう。
そう思って皇帝はとりあえず寝る事にした。
その頃まさに皇帝に忖度して陰謀を働こうとする者がいた。
「絶対に皇帝が喜んでくれると思うんだ。」
夕暮れの自邸の中庭で集めた手勢を前にウキウキしているキルハム侯爵だった。
「みんなー、ぬかるなよー。」
手勢達はてんでに闇の中に消えていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます