第6話 勇者のレベル上げ

「疲れたー。帰ろー。」


まだスライム284匹とコボルト72匹、ゴブリン35匹、角ウサギ143羽しか倒していないのにもう、ねを上げている。


殆どオレが倒した。


パーティ登録してあるから半分はパエリの経験値になっている。


パエリのレベルはまだ上がっていない。


HPやMPは上がっているのにレベルは上がらないってどう言う事。


ステータスってレベルに追随するんじゃないのか?


経験値2倍補正がかかっているし攻撃力や防御力も上がっているのになぜ?


これはもう普通の人間では太刀打ち出来ない強さになっているんだけどな?


オレ?オレは9999、これ以上は表示出来ないみたいだ。


まだここトリミド村って言う始まりの村の周囲をうろうろしている。


別に急ぐ事はなにもないしパエリも嫌がっているから宿に帰ろうとしているとその宿のある村の方が何やら騒々しい。


ゴブリンが襲って来た?


どうやら村はずれの何件かの家にゴブリンが来て暴れているらしい。


ムールはパエリをおんぶして飛行魔法を使う。


「高ーい、こわーい、もっと低く飛んでー。」


「低いと木や屋根にぶつかっちゃうよ。」


「走る、走るからおろしてー。」


パエリが涙ぐんでいる。


「私、高所恐怖症なの。」


そうこう言っているうちに村はずれの集落についた。


10匹程のゴブリンが集落の穀物庫の扉を壊しているところだ。


自警団の人だろうか3人程の人間が倒れている。


パエリが鼻をかんで顔を拭いているうちにムールはぴょんっと飛び上がって1番そばにいたゴブリンの頭を蹴る。


頭は胴体をはなれて隣に立っていたゴブリンの頭にぶつかって砕けた。


同じ要領でぴょんぴょんと跳ねてムールはすべてのゴブリンを倒した。


「あ、レベルアップしたみたい。」


パエリが言う。


ピロリンって音が頭の中でなるんだ。


「ダメ、MPが上がっただけでレベルは上がらない。スキルも生えないから魔法も使えないし。」


パエリ鼻をかんでいただけなんだから。


動いているゴブリンがいなくなった。


倒れていた自警団の人達にヒールの魔法をかけて治して、壊れた建物や柵も直す。


「ありがとうございます、勇者様。」


村人が言う


え?そっちなの?


まあどう見てもパエリが勇者でオレはちっこい子供なんだけれど。


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