第2話 勇者と会う
ややオレよりは大きいかな。
赤毛のツインテールの女の子がパンを喉に詰まらせ手足をバタバタさせてうーうーうなっている。
仕方がないのでオレンジジュースを飲ませてやる。
「あー、うー、助かった。もう一個パンをちょうだい。」
なんか厚かましいな。
そう思いながらもインベントリからパンとジュースを出してやるとひったくるようにしてパクパク食べた。
よっぽどお腹が空いてたんだな。
「はーっ、ふーっ、何よあの女神。」
「『勇者として魔王を討伐するのよ。』とか言って手ぶらでこんなところに放り出してーっ。死んじゃうわよ。」
ステータスを見てやると確かに勇者だけれどレベルは1、まだスキルもないしインベントリには布の服と棍棒ぐらいしかない。
お金は50G
本当にゲームを始めたところって感じだ。
こっちに来てから3日目って今まで何してたんだろう。
「ツボの中や民家の棚とか調べ無かったの?」
「ゲームじゃないんだからそんな事したら不審者だし泥棒じゃないの。」
「じゃあ、スライム退治とかしてレベルアップとかしないの?」
「この棍棒で?レベルアップどころかお腹が空いて動けなかったわ。」
「インベントリにお金が入っていたのはわからなかったの?」
「何よそれ?」
えーっ、あの姉ちゃんって女神か?何にも知らない子を勇者にしてこの世界に放り込んじゃったの?ひどいなー。
とりあえずは生活魔法のクリーンをかけて勇者を小綺麗にしてオレのインベントリから勇者の服を着させて勇者の剣を持たせる。
それから宿を探して、冒険者ギルドに行ってと。
あれ?オレ何してんの?
でもなー、ほっとく訳にもいかないしー。
勇者はなんか渡した装備を見につけて嬉しそうにしている。
「あんたー、気前がいいねー。私はパエリ、あんたは?」
「オレ?オレはー。」
メニュー画面を見るとムール 6歳男って書いてある。
多分この子もだけど元の世界の時の記憶が制限されていて名前もステータスに書かれた名前なんだろうな。
そうでないとホームシックとかでこの世界に耐えられないかもしれない。
「オレはムール。賢者だ。」
「ふーん、ちっちゃいのに賢者?」
「大きさは関係ない。」
パエリは15歳か。
「パエリ、メニュー画面は見えないのか?」
「自分のは見えるけど、あんたのは見えない。あんた私のステータスが見えるのね?エッチ。」
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