『四天王最弱』って、絶対後付けですよね?

魔女っ子★ゆきちゃん

第1話 玄武撃破! しかし……

 私のS&W M2944マグナムの銃口から放たれた弾丸ハイドラショック改四天王してんのう玄武げんぶの頭部にヒットした。


 ブラックな黒同士の対決は、なんとか私の方に軍配が上がった。

 紙一重の差もなかった。いや、実力的には向こうが上だったまでありる。

 ギリギリの勝負、私の機転が勝敗を左右した訳だが、お陰で超能力を使い果たしてしまった。フルに回復するまでに一週間は掛かるだろう。

 と、その時、何者かの気配を察知さっちした。2人……、いや3人か? いつの間に。

 3人の男が目の前に立っていた。真ん中の男が一歩前に進み出て、口を開く。

「くっくっく。四天王玄武撃破げきはおめでとう、豊田世梨華とよた せりかくん。だが、ヤツは四天王最弱! その玄武相手に、疲労困憊ひろうこんぱいといった有様だが、そんなことで残った四天王の吾等われら青龍せいりゅう朱雀すざく白虎びゃっこの3人に勝てるのかな?」

 残りの四天王? しかも、3人いっぺんに?

 素早くリボルバーM29に弾丸を装填そうてんしようとするも、右手が弾かれた! 出血。銃を撃つ気配などまるで感じなかったのに……★

 右手はもう、使い物にならない。

 もし、このまま戦闘に入れば、100%死ぬのは私の方になるであろう。なんとか、回避出来ないものか?

「独りずつでは敵わないからって、3人掛かりで襲いかかろうとは、プライドの欠片もない四天王様たちね? それで、私を殺してどうなるのかしら? うちの組織の四天王は、小娘一人殺すのにも、3人掛かりでないと行動できない腰抜けぞろいだと賞賛しょうさんされるのかしらね?」

「ふっ。命乞いのちごいなら、もっと言葉を選んだ方がいいな。まあ、残念なお知らせになるが、この機会きかいのがすつもりはないがね?」

 左手のコルトの22口径ピストルの銃口が、男の脳をロックオンした……はずだったのに。

 真ん中の男が溶けるように消えた。次の瞬間、目の前に男が現れ、私の右頬みぎほおを平手打ちすると同時に、左手首をつかまれねじり上げられた。ピストルが奪われる。

「全く。油断も隙もないお嬢さんだ。早急にお亡くなりになって頂こう」

 こめかみに、私のモノだった銃口が突きつけられる。頭を激しく振って照準しょうじゅんを外そうかとも考えたのだが……。

 最初の一撃はかわせたとしても、二の矢、三の矢が降ってくる。

 もはや、ここまでか……。そう観念した時。


 続く

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