「いのりん、なに読んでるの～？」

「太宰治だよ」

「あ！その人なら知ってる。『走れメロン』の人でしょ」

「それは『走れメロス』でしょ。教科書に載ってたわよね」

「それだ。こむずかしい感じのやつ。いのりんすごいね、読んだら頭よくなるかな～」

「ならないでしょ。というか、本を読めるとなんですごいのかな」

「それ私以外に言ったら嫌味ぽいって言われるよ」

「漫画も本も結局娯楽（ごらく）に変わりないのに」

「ごらく」

「ゲームとかの楽しいことのことよ。あなたの将来が心配だわ」

「将来はみんなに養ってもらう！......本を読むとえらくて、本とまんががいっしょなら......」

「一緒なら？」

「私、『たくさんまんが読んだで賞』もらえるね！」

「ソウダネ」

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