第9話 ボタンが取れた話

「てんぽ助けて、制服のボタンとれた」


「俺にどうしろと。言っとくけど裁縫セットとかは持ってないからな」


「なんかないの?おばあちゃんの知恵袋的な」


「ねーよ。大体上着脱げばいいじゃん」


「それはやだ」


「のりこお前、子供かよ......ちょっと待って、筆箱になんか入ってるかもしれん」


「そのペンポ四次元ポケットみたいだね。はい、ボタン」


「ん......ヘアピン(アメピン)あった。ボタンを引っかけて......ちょっと胸貸せ......いや、上着貸してくれればいいから」


「てんぽヘアピン使わないのに何で持ってんの」


「入ってたんだよ。ヘアピンをボタンがあった位置に留めて......よし、制服黒いから目立たないだろ。のりこ、上着着てボタン留めてみ?」


「わお。ボタンがついてるー」


「あくまでも仮だからな。家に帰ったらちゃんと縫い付けろよ」


「はーい。ありがとね、てんぽ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る