鬼畜悪役貴族の奴隷調教日誌 主人公なんぞ知らん、俺様がルールだ。
ビートルズキン
第1話 俺様、生誕!
僕ことボルクス=エルモンドの生涯は実にあっけないものだった。
茶髪で大きな赤い瞳と大きい歯だけが特徴の僕は身長だってどちらかといえば小さいし、貴族の三男として生まれたからあまり将来にも期待されていない。
学問成績だってどんなに頑張っても上位には食い込めないし、魔法の才能だってない、でも運動はなんだかんだ得意だったんだ。
運動の途中でせき込んでしまって途中で休まないといけなくなったのは僕が10歳を超えたあたりだっただろうか。
僕の一家はそれなりの名家で魔物との戦争でいち早く功をあげてその功績のおかげでそれなりの地位にいられる。
母親は優しく父親は厳格でいつも僕は母親に甘えてばかりいた。
二人の兄がいたが、長男が優秀で才色兼備といったところ。
二番目の兄さんも長男ほどじゃないけど学業が優秀で長男とは別に魔法の才能がずば抜けていたので魔法学校の教師になる器だという。
それを差し置いて僕はというと、いろんなことに挑戦したが芸術の才能はこれぽっちで人と関わるのもあまりうまくない。
僕は引っ込み思案だった。
自分に自信がもてなかった。
何をやっても一番にはなれない。
自分のことが嫌いだった。
そして18歳のある日、僕はかかりつけの医者から突然の余名宣告を受ける。
「もってあと半年でしょうな。肺の病気です。お辛いでしょうが……」
辛かった。
恋人もできなかった。
友達だってできなかった。
夢や目標も何一つ叶えられずに僕は死ぬのか。
そんなのは嫌だ。
せめて、せめて童貞くらいは卒業したかった。
もっとこの広い世界を自由に駆け抜けたかった。
貴族なんてどうでもいい、僕らしい人生を歩みたかった。
そんな思いもむなしく僕は得意な運動すらできなかった。
少し走っただけで血を吐いてしまう。
僕はずっとベッドの中で本を読んで過ごした。
兄さんたちが家のことは任せておけと言ってくれた。
みんなの憐みの視線がとても痛くてとてもさみしい気持ちになった。
いやだ、いやだ。
僕はもうすぐ死ぬ。
そんなの嫌だ。
絶対に。
なんで僕だけがこんな思いをしなければならなかったんだ。
そして余名の半年が経過した。
ある日の晩。
僕はひどい頭痛に苛まれた。
頭が割れるように痛い。
頭の中から何かがあふれ出てきそうだ。
頭が爆発してどうにかなってしまいそうだった。
———————お前の人生はこんなものじゃない。
頭の中でいつしか一人の若い男の声が聞こえた。
「え?誰なの」
———————俺様のようなスーパーな前世を持っているお前はまだ死ぬべきじゃない。生きろ。生きて生きて、この世界を思う存分めちゃくちゃにして楽しむんだ。
それがお前の生き方なんだ。俺様のように生きてみろ。
そしてまたしばらくひどい頭痛がしてたくさん嫌な汗をかいてベットでもがき苦しんだ。
心配になった母さんが僕の手を握る。
あぁもうすぐ死んでしまうのねという母親のあきらめきったその顔。
お医者様が首を横に振る。
「今夜が山場でしょう」
そして家族全員が僕の周りにいる。
言葉がうまくでない。
言葉を話そうとしても血を吐いてしまう。
こんな人生うんざりだ。
いっそのこと―――――――。
そして僕は意識を失った。
翌朝。
朝日が眩しい。
俺様は生きている。
俺様はボルクス=エルモンド。
そうだ、俺様は生きている。
待ってろよ世界。
「ボルクス様!大復活だぁああああああああああああガハハハハハ!」
そして俺様の冒険譚が幕を開ける。
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