命売りの少年
喜島 塔
第1話
「ちょっと、そこのお姉さん、『命』買っていただけませんか?」
今しがた、母方の祖父が理事長、院長を兼務している
「貴女、『命』欲しいんでしょう? 貴女は今、喉から手が出るほど『命』が欲しい。貴女にはその命尽き果てるまでに成すべき使命がある、そうでしょう?」
ああ、この少女は、頭がおかしいに違いないと思い、七菊は肩に置かれた少女の手を払いのけた。その手はマネキンのようにひんやりとしていて、生命の鼓動を微塵も感じとることができなかった。
「三大財閥の一角を担う、
身体の中を循環しているすべての血管が一瞬にして凍り付いたような気がして、七菊は氷像のように、其処から動くことができなかった。そんな七菊を、実験動物を観察するような冷淡な目で眺めながら、少女は、
「図星のようですね。豪胆で冷静な御方だと思っておりましたが、存外、人間臭い一面もあるようですね」
と言って、ふふっと笑った。
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