恋遊び
#zen
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俺はバンチャン王国の第二王子、ウンギ。
女なんて面倒くさいと思って婚約の話を片っ端から蹴っていたら、いつの間にか適齢期を過ぎていた。
だが悔いなんてない。どうせ国王には兄上が就くので、俺は自由きままな王子として生きていくつもりだった。
そんなある日、舞踏会でひたすら酒を飲んでいた俺は、ほろ酔いで城の庭を散歩していた。
すると、目的地の
一人が好きな俺は、内心舌打ちをしつつその場を去ろうとするが——女性がこちらに気づく。
時が止まった瞬間だった。
俺は生まれて初めて恋というものを知った。
一目惚れだった。
だが女性は俺を見て驚いた顔をしたかと思えば、すぐに立ち去ってしまった。
「待ってくれ! せめて、名前だけでも!」
叫んでも、女性は一度も振り返らなかった。
俺は生まれて初めて切ないという感情も知った。
あきらめられない俺は、女性が立っていた場所に近づく。
すると、足元に真っ白なハンカチを見つけた。きっと彼女の物だろう。
アマリリスの花が刺繍されている。その可憐な花は間違いなく彼女に似合っていた。
「きっとこのハンカチを、彼女はとりにくるだろう」
そう確信した俺は、あることを思いつく。
そして俺は大急ぎで城に戻ると、舞踏会そっちのけで手紙を書いた。
彼女のために綴った恋文だった。
俺は彼女のありとあらゆるところを褒め称えた。
輝くばかりの髪に、陶器のような肌。
まるで神の愛を独り占めしているようだと表現した。
そして書きしたためた手紙を持って、再び庭へとやってくる。
きっと彼女はこのハンカチを取りに来るだろう——そう思い、俺はハンカチがあった場所に、手紙とハンカチを置いた。
俺の想いが彼女に届くことを祈って……。
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