JPopと洋楽の交差するところ2

Windy Island

ニ名敦子

 このアルバムは1985年に発表されたものだが、当時活動が宙ぶらりんの解散状態となったパブロクルーズのオリジナルメンバーがそろって参加している。

 パブロクルーズのサードアルバム a Place in the Sun の Tonight My Love の日本語バーションからはじまるアルバムはパブロクルーズと言うより80年代の東京から南関東の佇まいそのものだ。


 パブロクルーズの拠点とするサンフランシスコの海岸の澄んだ空気感よりも、少しスモッグに汚れながらも善良な都会での生活感が醸し出されている。

 彼女の無理のない歌唱は好感が持てるが、詩に対する発音も明瞭で美しく耳に完全に入ってくる。


 それにしても、これがパブロクルーズの演奏なのかと思うほどシティーポップ感のあるプロデュースに仕上がっているのは驚きだ。プロデューサーによってこれほど音がかわるのかと。


 パブロクルーズの初期から中期の音の世界観は、太陽光線にギラギラと照りつけられる砂浜の情景そのもので、水着か肌のあらわな真夏の服装のもと汗ばんでくる感じだが、このアルバムは東京の大きなフロアにあるきらびやかな店舗の中の情景が広がる。

 この2つの合体がどういう音になるのかと期待したが、東京の職業生活やショッピングも恋人とのデートもあるが、時には湘南の海へも伊豆へも行く、1年に一辺は海外旅行もある、そんな感じか。


 アルバム最後をかざる Atlanta June の日本語バーションは彼女の英語の発音がどうの言うよりも、パブロクルーズに対する憧れと強い愛情が感じられる。

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