第8話



「さすがです、先輩。」


 風が、2人の間を強く抜けていく。


「もう、仲間じゃないだろう? 滝。」


バンッ



「えぇ、まぁ、そうですね。」


 弾が、通り抜ける。


 ここのあたりのレベルになると、もはや銃弾は当たらない。


 あくまで、牽制にしか使えなくなる。



×+×+×+×+×



 やっと、弾切れですか、先輩が。


 滝は、相手の銃弾の数を数えていた。

 ここで、弾切れ。



 絶対に撃ってこない。


 そう、確信できる。



 滝は、特攻した。

 滝の弾も残り一発なのだ。


 あくまで牽制のように、一歩で避けられるように見せる。

 今だ!


 引き金を引いた。


ババンッ


 銃声は、重なって聞こえた。

 いや、違う。まだ、弾があった…?



×+×+×+×+×



 ふう、持っててよかったな。スペアの銃。



 それは靴底に仕込まれていた。厚さはなんと五ミリ。それなりに重くなっているが、それを感じさせないのは彼の力量だろう。



 油断はしない。

 彼は、念入りに急所を狙って三発。追加で発砲した。


「強敵だったよ、滝。」



 そう言って、後ろを振り返る、と





「ぶどうジュース、美味しかったですよね?」


 滝の、声がした。



×+×+×+×+×




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