第5話


「撃て!」


 銃声が、夜を切り裂く。


 爆発で、夜空は赤く光っていた。




 顔のすぐ横を、弾がすり抜けていく。


 頰に痛みが走る。


 どこかで被弾したようだ。



 構わない。


 僕は、死なない。

 己の正義のために。



×+×+×+×+×



 今、軍は押されている。


 このままいけば負けるだろう。


 当然だ。主力の強い奴らを、また、敵陣に潜入させているのだから。


 あの後輩も、死ぬだろう。



 だが、そんなことは問題じゃない。


「いけ! 撃て!」


 また、怒号を飛ばす。


 戦に勝てば、問題ない。


 全ては数字。それが、戦争なのだから。


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