第3話


 ここは、我らエントウ帝国の、本拠地。


 鉄の冷たい空間で、完全なシェルターとかしている。


 決着のつかない泥沼戦になれば、大体どこの国でも同じようなものだろう。


「本当に、自軍を犠牲に相手の本陣を討ち取ったのですか?」


 後輩の、滝だ。


「あぁ。その通りだ。」


「それで、自軍の人たちは1人残らず戦死したんですよね?」


「もちろんだ。」


「なんでそんなことしたんですか!!」


「そうしたら、勝てるからだ。」


「だからって……」


「いいか、滝。これは戦争だ。悩んでいても仕方ない。それに、そのおかげでこちらの損失の五倍の兵を裏で進めた潜入で倒せた。」


「それでも、死んでいいことにはなりませんよね!」


「なる。それが戦争だ。」


「そんな……」


「初めてだったか。戦争は、数字が出れば勝ちだ。」


「他の方法はなかったんですか!」


「ない。それだけ、相手も必死だったんだろう。」


「………」


「いいから行くぞ。次の任務だ。」


「……」


 俯いたまま、顔を上げない。


 仕方ない。


「銃を取れ! 滝!これは、戦争だ!」



「やらなきゃ、やられるのはお前なんだぞ!」



 ひんやりとした部屋は、静かに震えた。


 また、1人、1人と、人は死んでいるだろう。


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