第34話 こんな鬼畜イベントとか聞いてないんですけど、辞退できないとかふざけてますよね?
[エクストラクエスト『三つ首蜥蜴の番人』が発生しました。]
[クリア条件:『トライ・リザード・センチネル』の討伐。失敗条件:味方の全滅。]
勝手に進めるなって。
今味方いないし。煽ってるの?こいつ煽ってるの?
[スキル『正拳突きレベルMAX』にレベルが上昇しました。]
[スキル『正拳突き』が最大レベルに達しました。]
[スキル『羅刹衝』、『穿龍撃』、『虎崩掌』を獲得しました。]
それ絶対タイミング今じゃないよね?
ふざけてんの? 俺を殺したいの?
[現状把握を優先すべきです。]
んなこと分かってんだよ!
全く。
取り合えず相手の手札を見ておくのがこういうのの鉄則じゃなかったっけ?
だったはずだよな?
「『鑑定』」
__________________________
【ステータス】
種族:トライ・リザード・センチネル
名前:なし
レベル:98
HP:106020/106020
MP:397600/397600
ST:341238/341238
筋力:4843
魔力:31555
防御:570
魔防:2399400
俊敏:1028
幸運:3204
【スキル】
〔アクティブスキル〕
水魔法Lv.MAX、精霊魔法Lv.5、支援魔法Lv.1、防御魔法Lv.MAX、魔導要塞Lv.7、瀑布Lv.3、薙ぎ払いLv.8、三連攻撃Lv.MAX、連携攻撃Lv.MAX、鞭術Lv.9、放水Lv.MAX、仲間呼びLv.3、咆哮Lv.MAX、
〔パッシブスキル〕
自動再生Lv.3、自動魔力再生Lv.MAX、魔力感知Lv.8、熱源感知Lv.5、絶縁体、水中呼吸、魔法強耐性Lv.MAX、火炎強耐性Lv.MAX、水無効、毒無効、全状態異常強耐性Lv.MAX、
〔ユニークスキル〕
噛砕Ⅴ、詠唱破棄、持久力超回復Ⅲ、水操作Ⅴ、超嗅覚
【称号】
・魔を通さぬ要塞
・特異個体
・竜のなり損ない
__________________________
化け物じゃんか!
勝てっこないだろ。
例え沙耶が来ても戦力外だ。
ましてや俺だけでは敵うはずがない。
[称号『
そんなの気休めだろう。
格が違う。無理だ。
どうにかしないと……
どうにか……
[直接物理攻撃を推奨します。]
どう考えたって逃げたほうがいいだろ!
それをわざわざ攻撃しに行くとか自殺行為じゃないか!
[このクエスト中はこのエリアに封鎖されたままです。また、転移手段もすべて封じられています。よって討伐以外の手立ては存在しません。]
つまり詰みってことか……
もう何もかもお終いってこと?
俺、こんなんで死にたくないんだけど。
[エクストラクエスト『三つ首蜥蜴の番人』を開始します。]
くっそ。マジでどうしてこうなるんだよ!
かなり遠めにいたその一見竜にも見えるトカゲは俺を見ると天に向かって咆哮した。
──グォオオオオオ!
[スキル『咆哮レベル1』を獲得しました。]
めっちゃ怖い威嚇じゃん。
勝ち目がないことをこれでもかとばかりにその迫力が伝えてくる。
逃げたい。でも逃げれない。
これが俗に言う八方塞がりって奴!?
[スキル『隠密』、『潜伏』、『光学迷彩』、『気配遮断』『炎熱操作』を使用しました。]
取り合えず殴れってこと?
俺戦闘とか無理なんだけど?
え?速い。速すぎる。
前足を猛烈な勢いで動かしながら俺に近づいてくる。
これはマズくないか?
瞬間、危険察知が反応し俺は咄嗟に後ろに飛んだ。
それとほぼ同時に三つ首の生えたトカゲの尻尾がさっきまで俺がいたところに振りかざされた。
[スキル『縮地レベル1』、『薙ぎ払いレベル1』を獲得しました。]
その勢いのまま今度は俺の方に向かってきた。
どうやら気配や熱を叡智が隠してくれたのにも関わらず、相手は俺のいる場所に気付いている様子だった。
[体臭、もしくは魔力に反応していると推測できます。]
一々うるさいな……
[敵対個体の弱点属性の解析が終了しました。敵対個体の弱点属性は土、氷です。]
ハイハイ。もう少し戦闘に集中できる音量で伝えてくれないかな!
「『冷気纏い』!」
俺がそう叫ぶと同時にまたほぼ竜なトカゲは咆哮した。
──ゴォオオオオオオオッ!
その咆哮と呼応するように周囲に水の奔流が生まれる。
そうして俺のほうに放出された。
うまく回避できず、その流れに巻き込まれた俺は大きく突き飛ばされた。
「ぐぅっ……!」
痛い。ヤバい。
これマジで勝てないじゃんか。
それに辺りが水で覆われてしまった。
水のせいでうまく動けなさそうだ。
よく見るとその中には無数の水の刃が含まれていた。
殺意高くね? 俺泣くよ?
というかこれ、絶体絶命って奴じゃね? 少なくとも戦闘初心者にやらせることではないよね?
水無効があったから壁に打ち付けられた以外は大したダメージは食らっていないけどそれでも圧倒的な格の違いが見えたし。
負けの二文字以外が出てこない。
せめて足場さえあればまだ小数点くらいの勝ち目はあったのに。
もう負ける。
こんな無理ゲーをさせるなんてあんまりだよ!
[スキル『凍結レベル1』を獲得しました。]
これならまだ生きられる可能性はある。いやあると信じたい。
……本当に最悪だ。
[ユニークスキル『水操作』の使用を推奨します。]
その手があった。
すっかり忘れていた。
これなら俺は反撃に出られるかもしれない。
「『水操作』! おらあぁ!」
俺は相手が動きにくくなるように水で取り囲んだ。
そのまま俺はすかさずスキル『凍結』を使い、竜擬きの動きを制限した。
「『正拳突き』!」
[称号『殴りマジ』の効果が発動しました。]
衝撃波が俺の前を飛んでいき、敵の巨体に当たった。
しかし、竜擬きからしたらかすり傷のようだ。
でも近づくのは怖いしな……
腹をくくるしかないか。ここは死ぬか生きるかだし。
クッソ。
[スキル『腹巻レベル1』を獲得しました。]
[スキル『穿龍撃』の使用を推奨します。]
そういうのは先に言ってくれよ。……その前にネタぶっ込んでこなかった? 気のせい?
とにかくそういうのは早めに伝えてくれ。
そうしないと俺最悪死ぬからな?
本当になんでいつもいつも叡智が叡智してないんだよ。
[『属性拳』。]
どう見ても勝てそうにない巨体。
それに少しでも打ち勝てるように弱点属性の土と氷を拳に纏った。
今ある状況が怖すぎてロマンすら感じることができない。
竜擬きが周りにできた氷を壊している間に俺は上から近づいた。
「『穿龍撃』!」
まるで効果音がなったような感覚があった。
その瞬間、竜擬きの鱗が剥がれて肉が抉れた。
グロい。気持ち悪い。
けど、生きるためだ。仕方がない。
どうやら俺も大分感覚がバグってきたらしい。
そのまま俺は打撃を何回も叩き込んだ。
首が暴れることもあったがごり押した。
それ以外に俺は思いつかなかったし。
そうして勝利という一文字が頭に浮かんだその時だった。
竜擬きの巨体が物凄い勢いで後退した。
俺はその勢いで竜擬きの前方に吹き飛ばされた。
「グッ……カ、ハッ……」
俺の口から赤黒い液体が出てきた。
何も考えられなくなった。
同時に三つの口がまばゆく光りだした。
とてつもない魔力の濃度に酔いそうになった。
———グァアアアアッ!
まるで物語に出てくる竜の如く中央の口から猛烈な水の魔力が放たれた。
その両端の首からは毒の水流が放たれた。
三つの魔力が入り混じり勢いを増して俺のほうに向かってくる。
……これ死んだかも。
本当に最後の最期まで無慈悲だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます