第30話 ポンコツにまた苛まれると思うと、不安で仕方がないのは当然だと思う。





 作者です。

 箸休め回が続いたためステータスは第35話にお預けになります。

 悪しからず。



_______________




 ………zzz……zzz………

 ……zzz…………zzz……

 

[スキル『叡智Ⅱ』のスリープモードが終了しました。]


 うる……な……は寝……んだって。

 なん……の中で……通……聞かな……ゃいけな………よ。


[スキル『叡智Ⅱ』が使用可能になりました。]


 お……だから……寝さ…て……


[夕食の時間なので起床するべきです。]


 うるさ…な。

 少しくらいはだ…ってろ…


[スキル『起床』を発動しました。]


 は?なんで今俺起きたし。

 まだ寝たかったんだけど。

 誰が起こしたよ、おい!


[優先事項が為されていないと判断したためスキル『起床』を使用しました。]


 ……お前か! 叡智!

 許さないって言ったよな?

 さて、どうしてくれようか。

 取り合えず勝手にスキル使うのは禁止だな?

 あと俺が一度断ったことを聞き返すのは止めてくれ。


 さて、叡智、お前俺に何したか覚えてるか?

 覚えてるんだろうな?

 

[魔法訓練の補助をしました。]


 なんか前より生意気になってないか?

 ムカつくな。非常にムカつく。

 時計を見ると、20時くらいだった。

 つまり俺は5時間は寝たことになる。


 なのに全然疲労も何も回復してない。

 やっぱりもう俺の精神がやられてしまったのかもしれない。


[スキル『精神再生レベル1』を獲得しました。]


 えっと、どんなタイミングだよ。

 もっと早くくれよ。


[スキル『精神再生』を使用しました。]


 ……少し楽になった。

 もしかして叡智が叡智ポンコツじゃなくなった?

 叡智が叡智ホンモノになった!?

 ……まさかな。有り得ない。

 実際さっきも勝手にスキルを使って起こしてきたし。

 ポンコツなのは変わっていないようだ。


 それにこんなんじゃ怒りが収まるわけがない。

 事実疲労は回復してないし。

 ウザい音量を鳴らしてくるのも変わってない。

 口調もむしろフランクになったせいで余計にからかわれてる感が増している。


[スキル『精神再生』を使用しました。]


 えっと……?

 もうやらなくても良いんだけど。

 やっぱり叡智は叡智ポンコツだった。

 頼むからその名前を名乗らないで欲しい。

 これからは叡智じゃなくて叡智ポンコツと呼ぼう。


[スキル『精神再生』を使用しました。]


 わざとやってない?

 気色悪いんだけど。

 絶対に面白がってやってるよね?

 本当に腹が立つ。殺す。

 ……よく考えてみてスキルってどうやって殺すんだろう……

 あ……詰んだ。

 この怒りはどうしたら良いんだよ。


[スキル『精神再生』を使用しました]


 だから、やめろって言ってんだろ!

 早くそのループをやめろ!

 うるさくて仕方ないんだわ。

 もう回復してるから! 

 なに? もしかして傷つけて回復させてで痛ぶるタイプか?


 マジで死ねよ。

 本当にこいつ……俺のことを舐め腐ってやがる。

 俺が反抗する手立てがないことを良い事に俺を弄りまくってくる。

 本当にムカつく……


[スキル『鎮静化』を使用しました。]


 ……今少し怒りを抑えられてしまった。

 こいつ調子に乗ってやがる。

 しかもスキル使用とかいう頭おかしい方法でだ。


 この叡智は叡智ポンコツどころか、もう叡智ごみくずなのかもしれない。

 いや、かもしれないじゃなくて、ほぼ確実に叡智ごみくずだろう。

 ……こいつどうにかしてスキルの制限ができないものか……あ。

 称号を使おう。よしそうしよう。

 確か究極の自重だっけ?

 いや自重要素なくないか?


 まあいいや。

 これで叡智ポンコツをある程度制御できるわけだし。

 それに叡智ポンコツに対する抑止力になる。


[スキル『抑止力レベル1』を獲得しました。]


 通知ポンコツ二号入ってくんなよ。

 何だかんだお前も叡智ポンコツと同罪だからな?

 いずれ断罪してやるから覚悟しておけよ?


[スキル『断罪レベル1』を獲得しました。]


 おいっ。聞いたそばからふざけてんじゃねえぞ!

 ……本当になんで俺ばっかりこんな目に遭わなくちゃならないんだよ!

 理不尽だ。本当に理不尽すぎる。

 この苦しみは多分誰も理解してくれないだろう。虚しすぎる。


[スキル『虚無レベル1』を獲得しました。]

[スキル『虚無レベル2』に統合しました。]


 通知ポンコツ二号叡智ポンコツも俺に恨みか何かがあるのだろうか。

 そうじゃないとここまでいじってくるのに合点がいかない。

 理由も経緯もなしにただ面白いからとか暇だからでこんな不幸な目に遭っているとするならば、この世で今一番不幸なのは俺なのかもしれない。

 本当に最悪だ。


[戦火に巻き込まれた人たちや食料や水が手に入れられないような人たちと比較すると相対的にマスターの幸福度は高いです。そのためマスターの発言には誤りがあります。]


 例えだよ、例え。

 何? そんなことも言わなきゃ分からないの?

 やっぱりこいつは叡智ポンコツだ。


 少なくとも沙耶レベルには頭がおかしいと思う。


[スキル『叡智』には頭部が存在しません。よってマスターの……]


 うっさいわ!

 黙れよ。お前が思い付くことくらい思いつくわ!

 スキル使用での嫌がらせができなくなったからって次は煽りか?

 マジでふざけんな! まあ低レベルな煽りだけど……

 本当にいい加減にしてくれ……



_______________



 次回からまたファンタジー要素が入ってきます。

 お楽しみに。

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