第18話 なんか色々ありすぎて頭が回らないのは、決して俺のせいじゃないはずだ。


[スキル『走馬灯』、『切断レベルMAX』、『分断レベルMAX』、『肉断レベルMAX』を発動しました。]


 鋭い嘴が迫る。

 それとほぼ同時に目の前に、青白い閃光が轟いた。


 これ、絶対に死んだ……

 ………………あれ? 俺生きてる?

 その瞬間目の前に広がる惨い光景が俺の目に映った。

 俺は吐かずにはいられなかった。


[スキル『吐気耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『吐気耐性レベル2』に統合しました。]

[スキル『亜空間収納』を発動しました。]


 目の前にあった怪鳥の遺体が一瞬にして消えた。

 困惑する時間さえ与えてくれない。

 相変わらず俺は吐きっぱなしだ。


[スキル『吐気耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『吐気耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『吐気耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『吐気耐性レベル3』に統合しました。]

[スキル『吐気耐性レベル1』を獲得しました。]

[……経験値を獲得しました。]

[レベルが12になりました。]

[スキル『吐気耐性レベル1』、『斬撃レベル1』を獲得しました。]

[条件を満たしました。]

[称号『段階レベル上昇アップ先駆者バイオニア』を獲得しました。]

[称号『大物喰ジャイアントキリングらい』を獲得しました。]


 情報量が追い付かない。

 目の前にあった光景が目に焼きついて離れない。

 今もとても気持ち悪い。


「うっ……おうぇ」


[スキル『吐気耐性レベル1』を獲得しました。]

 

 通知が相変わらずうるさい。

 このパターンだとまた鑑定が発動する気がする。

 ……こんな状況で鑑定は要らないからな?


[スキル『鑑定』が発動します。]


 どれだけ頼んでも無理だよな……

 少しは状況を考えてからスキルを使ってくれ。


______________


【称号】段階レベル上昇アップ先駆者バイオニア


 レベルアップを世界で初めて経験した者に与えられる称号。

 経験値獲得に大幅な補正がかかる。

 また、レベルアップに必要な経験値が既定値よりも減少する。


______________

______________


【称号】大物喰ジャイアントキリングらい


 自分のレベルよりも相手のレベルが25以上かつ、相手よりも全てのステータス(強化済)が劣っている上で討伐した者に与えられる称号。

 自分よりも相手ステータス(強化済)が高いとき、自らのステータスに補正がかかる。

 また、相手の強さが強いほど補正の割合が増加する。


______________



 だから今見せんなって。

 普通に何書いてあるか吐き気のせいで見れなかったし。


[スキル『吐気耐性レベル1』を獲得しました。]


 だから思考を分断するなといってるだろうが……

 今は称号なんて見たくもないし。


[スキル『鑑定』を発動しま……]


 本当に叡智、お前ふざげんなよ!

 さっきもスキル『走馬灯』とかネタスキルの通知しやがってよお。

 こっちはなあ! 生命の危機だったんだぞ!


[回答します。スキル『走馬灯』の獲得は個体名:ロックバードを討伐するうえで必要不可欠でした。よってその主張は間違いです。]


「はあ?どういう意味だよ!説明しろよ!」


 ……あ、ヤバっ丁度通行人に見られた。

 うわっ俺がそっち見た瞬間に走ってたんですけど。

 

[進言します。独り言を外で言うのは控えるべきです。]


 うっせーよ! お前のせいだろ!?

 はあ。で?

 なんで走馬灯が必要だったか答えてくれますかね?

 そうしてくれないと怒りが収まらないのですが?


[回答します。スキル『走馬灯』は死に際の行動全てに14.4倍補正がかかるスキルです。本当に死ぬ間際でないと効果が発動しません。ただし今回のようなケースにおいては最適解です。訂正しておきますが、スキル『走馬灯』の獲得はスキル『叡智』によるものではなく、スキル『vkt@a.:☆Ⅱ』によるものです。]


 あ……そうですか……

 すみませんでした。

 俺、論破されたんだけど。

 もう精神ボロボロだよ……色んな意味で……

 今日学校休もっかな……

 仮に学校行ったとしても何一つ内容入ってくる気しないし。


[回答します。スキル『叡智』を所持しているため、現代の学問及び基本情報、専門情報は全て網羅しています。ただし学校に行く行為というものは出席日数及び態度に関係しており、将来に大きく影響する可能性があります。特に今回のような一般人からするとイレギュラーなケースについては、証拠が不十分であるため、ズル休みという形の欠席扱いとなり、成績に多大な影響を及ぼす可能性があるため、学校へ登校するよう進言します。。]


 そんなの言われなくても分かってんだよ!

 なに正論ぶちかましてくれちゃってんの?

 俺の精神にクリーンヒットしたよ?


「習ぐ〜〜ん゙ん゙大丈夫だっだぁぁぁ??」


 途方に暮れている俺に沙耶が号泣しながら走ってきた。

 

「……大丈夫だったよ……もう今日学校行きたくない……」


「本当に大丈夫なの?ねえ!ねえっでば!」


 泣きつくなよ。

 今俺本当に訳が分からなくなってるんだって。

 普段なら滅茶苦茶嬉しいんだろうけど、こんな状況でされても余計にこんがらがるだけだから。


 もう通知とか鳥とか意味わかんねぇよ!

 本当に頭が回らない。


「うっ………お、おぅえ…」


「ちょ、じゅうぐん大丈夫!?」


 結局俺は吐いたということで学校は病欠となった。

 欠席できたのは正直助かった……

 でもその間叡智による説教が続いたからもしかしたら学校に行った方が気楽だったのかもしれない。


 これからもこんな有り得ないことが起こるだろうしな……

 先が思いやられるぞ、これ。

 あと沙耶、痛いから離してくれ……


[スキル『苦痛耐性レベル1』を獲得しました。]


 だからそれやめてくれって……



______________


 どうも作者です。

 早速戦闘描写が見られる!と思った方には申し訳ありません。

 しかし習くんは一昨日までは一般人だった身です。

 戦闘なんて普通出来ないと思い、スキルに活躍してもらいました。

 今後、戦闘描写もちゃんと書く予定なので楽しみにしていただけたら幸いです。

 悪しからず。

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