第10話 帰り際に幻聴を告白するとそれを本物と言って疑わない幼馴染は、きっとおかしい。



 今回の話はいつもより長めです。


______________


 今日は散々だった。

 もう何もしたくない。

 幸い今日は水曜日で、部活も掃除もない日だったのであの後からうるさいのは一時的に止まった。そう一時的に。


[スキル『整理レベル1』、『整頓レベル1』を獲得しました。]

[スキル『収納レベル1』を獲得しました。]


 そう、リュックに荷物を詰めるだけでこれである。

 これ以上面倒なことになるのは嫌だ。


[スキル『帰路』を獲得しました。]


 あ~~もう限界だ。


[ユニークスキル『限界突破』を獲得しました。]


 ユニークとか要らないんだって。

 そういうのいいから静かにしてくれ。

 仮にこれが現実でもきついのに、妄想だってわかってる分余計にツラさが増しているんだ。

 もういっそ鼓膜が破れたほうが生活しやすそうだ。


[スキル『達観』を獲得しました。]


 何が達観だ。

 馬鹿馬鹿しい。

 俺がやってるのは達観じゃない、ただの妄想だろ?

 本当につらい。

 色んな意味でつらい。


 もうこうなったら誰かに相談するしかないかもしれない。

 誰がいいだろうか。


[スキル『叡智』が発動します。]


 鬱陶しい。やめてくれそういうのは。


[スキル『叡智』の発動を停止しました。]


 それもいいって。うるさいだけだし。


 ……両親に相談するのはだめだ。

 絶対に病院に行くことになる。

 となると沙耶しかいないよな。

 どうせ一緒に帰るんだし相談するか。

 

 玄関前でいつも通り沙耶を待つか。


__________________________


[スキル『待機レベル1』を獲得しました。]


 一瞬でもいいから黙ろうか?

 本当にこれいつ終わるのだろうか。


「あ! 習くんだ! 待っててくれたの? 嬉しいなぁ」


「いつも一緒に帰ってるだろ。今更何言ってるんだか」


「習くん少し聞いていい?」


「スニーカー履いてからな」


「履着ながらでもしゃべれるじゃん! どうしてしゃべらないの?」


 並行なんちゃらとかいうスキルを獲得しましたとか言われないためだよって言っても意味わかんないだろうな。

 事実なんだけど。


「もう履き終わったから、質問していいよ」


「オッケー! えっと今日の習くん朝からずーっと変だったよね? なんかすごく疲れてる顔してる」


「その話なんだが、笑わないって約束できるか?」


 息を呑む。

 覚悟は決めた。


[スキル『覚悟』を獲得しました。]


 雰囲気台無しだよ!全く。

 よし、言おう。


[スキル『覚悟』を獲得しました。]

[スキル『覚悟Ⅱ』に統合しました。]


 うっぜー。もうさっさと言おう。

 せっかくの緊張感もなくなったけどむしろ言いやすい。


「えっとな、今朝からずっと幻聴が聞こえるんだよ、スキルやら称号やらを獲得したっていう幻聴が。しかもずっと鳴り響いてる。それに加えてステータスとかいう得体の知れない現調とかも見える次第でして…これってやっぱり病気なのか?」


[スキル『告白』を獲得しました。]


 だから今は来るなって。


「えっと……それ何の冗談?」


 だろうな。だと思った。

 もしこれが本当なのだとするなら、沙耶も見えるはずだ。

 沙耶にも見えるといいんだけど…


[スキル『視覚共有』を獲得しました。]

[スキル『視覚共有』を使用します。]

[対象者:自身、共有先:三倉沙耶、発動します。]

[同時にスキル『鑑定』を使用しました。]


__________________________

    【ステータス】


 種族:人間

 名前:三倉 沙耶  職業:なし

レベル:1

 HP:29/29   MP:1047/1047(698×{1+0.5})

 ST:150/150

 筋力:16

 魔力:822(548×{1+0.5})

 防御:12

 魔防:398

 俊敏:20

 幸運:371

 

【スキル】(ロックされています)

〔アクティブスキル〕

元素魔法Lv.1、精霊魔法Lv.1、召喚魔法Lv.1、生活魔法Lv.1、契約魔法Lv.1、創造魔法Lv.1、爆発魔法Lv.1、雷魔法Lv.1、自然魔法Lv.1、支援魔法Lv.1、転移魔法、浮遊魔法、魔力障壁Lv.1、努力Lv.1

〔パッシブスキル〕

魔力制御Lv.1、魔力感知Lv.1、消費MP減少Lv.1、ムードメーカー、魔法力Lv.5、魔力Lv.5

〔ユニークスキル〕

詠唱破棄、多重詠唱、消費MP半減、卓越展開、万能魔力、超成長、魔力超回復、


【称号】

・魔術の申し子

・魔力の申し子

・努力の革命家

・幸運の申し子



__________________________



 なんだこれ。

 どこかのラスボスかな?

 ……本当に俺の妄想が怖い。怖すぎる。

 もしこれが現実だったらこれをきっとうらやむんだろうな…

 魔法とか詠唱破棄とか多重詠唱とか思いっきりロマンじゃんか。

 小学生のころとか自分だけの魔法作ってたな~~

 本当によくできてるなこれ。


 まあこれも俺の妄想だろうけど。

 気色悪い妄想だな。

 吐き気がしてくる。

 まあ、俺の妄想なんですけどね……


[スキル『元素魔法レベル1』、『精霊魔法レベル1』、『召喚魔法レベル1』、『生活魔法レベル1』、『契約魔法レベル1』、『回復魔法レベル1』、『聖魔法レベル1』、『闇魔法レベル1』、『雷魔法レベル1』、『爆発魔法レベル1』、『創造魔法レベル1(一部ロック中)』、『死霊魔法レベル1』、『自然魔法レベル1』、『支援魔法レベル1』、『空間魔法レベル1(一部ロック中)』、『時間魔法レベル1(一部ロック中)』、『魔力障壁レベル1』、『魔力感知レベル1』、『魔力制御レベル1』、『同時展開レベル1』、『魔力レベル5』、『魔法力レベル5』を獲得しました。]

[条件を満たしました。]

[称号『魔法の持ち腐れ』を獲得しました。]


______________


【称号】魔法の持ち腐れ


 大した魔力を持たずして大量の魔法スキルを獲得したものに与えられる称号。

 戦闘中、魔法を使わない間はMP、魔力以外のステータスに1.5倍補正がかかる。


______________


 ハイハイ、全く都合のいい妄想ですね。

 あと魔法の持ち腐れってなんだよ。なんの自虐ネタだよ。

 あとうるさいからやめろっての。

 もう頭が痛くてヤバい。


[スキル『頭痛耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『頭痛耐性レベル2』に統合しました。]


 だから、頭痛いの! 限界なの!


[スキル『頭痛耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『頭痛耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『頭痛耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『頭痛耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『頭痛耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『頭痛耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『頭痛耐性レベル1』を獲得しました。]

[スキル『頭痛耐性レベル4』に統合しました。]


 だから……もういいや……


「えっと……え? これ、何!? え? え!?」


「急に声出してどうしたんだよ」


「視界が変なの! なんか私の名前とか変な数値とか見えるし! もしかして本物! ヤバっまじ!?」


 沙耶……もしかしてお前も妄想に悩まされてるのか?

 ないな。俺の妄想の延長線上に違いない。


「なわけないだろ。俺の妄想のせいだと思うぞ」


「私の思考まで操れる妄想って何? それはともかくこれは本物だって!」


「なわけ。……分かった。これは夢だな、そうに違いない。」


「夢じゃないってば! 現実だよ!」


「なら何でお前はそんな順応性高いんだよ!」


[なら何でスキルとか使えてないんだよ! おかしくないか? あるのに使えないって」


[スキル『叡智』を使用しますか?]


 ついに聞いてくるようになったか。

 俺の妄想もここまで来ると軽く恐怖だ。

 でも仮に本当なら使って見てもいいかもな。

 

[スキル『叡智』を発動します。]

[スキルを自由に扱えていないのはマスターがスキルの存在について信じていないこと要因です。試しに個体名:三倉沙耶のロックを解除しますか?]


 何でそうなる。

 話が飛躍しすぎだ。あまりにも都合が良すぎる話だ。

 あり得ない。


[ロックを解除しますか?]


 分かったって! 解除する! すればいいんだろ!?


[ロックを解除します。成功率100%……成功しました。]


 そりゃあ100%なら成功するだろうな!

 そんな意味分からん情報出すなよ!

 こっちはただでさえ困惑してるのに。


[個体名:三倉沙耶に魔法の使い方をレクチャーします。]


 知らないって。

 何で聞いてくんの? あと個体名って俺マジでキモいな、

 地味にそういうの傷つくじゃないか。


 その瞬間、幼馴染の手から炎が吹き出した。


[スキル『火炎耐性レベル1』を獲得しました。]


 はっ?








__________________________


 現在の主人公のステータス。


 種族:人間

 名前:鈴村 習  職業:なし

レベル:1

 HP:70/70(35×2)   

 MP:32/32(13×{2+0.5})

 ST:600/600(200×{2+1})

 筋力:54.6(21×{2+0.6})

 魔力:47.5(19×{2+0.5})

 防御:65.6(26×{2+0.6})

 魔防:46(23×2)

 俊敏:100(24×{2+0.25+1+1})

 幸運:122(61×2)

 

【スキル】

〔アクティブスキル〕

 元素魔法Lv.1、精霊魔法Lv.1、召喚魔法Lv.1、契約魔法Lv.1、生活魔法Lv.1、回復魔法Lv.1、聖魔法Lv.1、闇魔法Lv.1、雷魔法Lv.1、爆発魔法Lv.1、創造魔法Lv.1(一部ロック中)、死霊魔法Lv.1、自然魔法Lv.1、支援魔法Lv.1、空間魔法Lv.1(一部ロック中)時間魔法Lv.1(一部ロック中)、通知Lv.MAX、呼吸Lv.MAX、睡眠Lv.MAX、寝返りLv.MAX、起床Lv.1、着席Lv.MAX、起立Lv.MAX、飲水Lv.3、咀嚼Lv.MAX、嚥下Lv.MAX、洗顔Lv.MAX、整髪Lv.MAX、歯磨Lv.MAX、着衣Lv.MAX、徒歩Lv.MAX、偽装Lv.2、ツッコミLv.MAX、同情Lv.MAX、スルーLv.1、妥協Lv.1、鑑定Lv.1、安堵Lv.1、発声Lv.MAX、読書Lv.MAX、傾聴Lv.MAX、静聴Lv.MAX、鑑賞Lv.MAX、検証Lv.1、実験Lv.2、柔軟運動Lv.MAX、反復運動Lv.MAX、跳躍Lv.7、祈祷Lv.1、連鎖Lv.1、尊敬Lv.1、探索Lv.2、回避Lv.1、準備姿勢Lv.2、交代Lv.1、急行Lv.1、助走Lv.2、投擲Lv.2、横移動Lv.MAX、高速移動Lv.MAX、整理Lv.1、整頓Lv.1、収納Lv.1、待機Lv.1、魔力障壁Lv.1、同時展開Lv.1、疾走、諦観、楽観、悲観、達観、視覚共有、帰路

〔パッシブスキル〕

 魔力制御Lv.1、魔力感知Lv.1、思考LV.MAX、水中呼吸、ストレス強耐性Lv.2、威圧耐性Lv.1、頭痛耐性Lv.4、火炎耐性Lv.1、柔軟Lv.MAX、腕力Lv.6、脚力Lv.MAX、耐久力Lv.6、瞬発力Lv.MAX、持久力Lv.MAX、魔力Lv.5、魔法力Lv.5

〔ユニークスキル〕

 噛砕、通知受取MAX、通知簡略化Ⅲ、思考加速Ⅱ、超記憶Ⅲ、叡智、卓越言語力(制限中)、限界突破

〔???〕

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【称号】

・ツッコミを極めし者

・称号獲得先駆者

・諦めの境地

・究極の自重

・魔法の持ち腐れ


妙にスキル増えてると思いますが、授業シーンを飛ばしたためです。

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