第31話 上物のオトコ

高級ホテルのレストランならドレスコードが必要だろうとミオはエレガントな7分袖の花柄のフォーマルなワンピースを着て髪も軽くアップして何時もよりめかしこんで出かける


ホテルの八階にある硝子張りのレストランの前に立ちレストランの入り口でお店をながめる


上品な飾りつけのあるシャンデリアはまるでフランスのベルサイユを思わせる

正面に飾られた赤いバラは何本あるのだろうそんな事を思いながら。キョロキョロと会長と松前さんの姿を探す


中に入ろうかと悩んでいるとスタッフの方が声を掛けてきた

「ご予約はお済みでしょうか」


慣れない言葉に


「あのー、予約って事は分かりませんが倉科財閥の・・・」

と言いかけた時

「倉科様のおつれ様ですね

伺っております

ようこそいらっしゃいました。ご案内致します」

姿勢のいい黒服の彼は

髪はグリースで固め背が高く礼儀正しい40歳位で

丁寧に席まで案内してくれた。


「ようミオ」

会長が呼ぶと

その声に1人の体格のいい彼が振り返る。

隣に座る松前も軽く右手を上げた、ミオはややおぼつかなく近寄りペコリと頭をさげる。


彼はミオをみて流暢な日本語で「初めましてスチュアート、フィッツジエアルと申します」

と挨拶した。


ミオは目の前の外国人と日本語の流暢すぎるギャップに驚いて何も言えずにつっ立っていた


「あ、あ、すみません

日本語お上手でツイ

私は倉科ミオと申します。」



「Ohミオさん、よろしくお願いします」


「スチュアートは日本ひいきで剣道三段だ納豆まで食うんだぞ」

と大吉が話し出した


スチュアートに椅子を引かれミオは一礼してテーブルに付いた。

その日は和食のフルコース

料理長はミオの父親の弟子だそうで大吉の事もよくしっていて薄塩加減な料理が大吉の前にならぶ

大吉は懐石料理でミオとスチュアートと松前は日本料理のフルコース

大吉は好物の茶碗蒸しを2つも頼んでご満悦

「お爺様は子供みたい」

とミオは笑う


「会長の事噂では聞いてましたがなかなか 楽しい方ですね」

とスチュアートもにこやかに笑う中々の好青年である。



楽しげなディナーも終わり… 四人は席を立つ


「私と松前は部屋に帰るが下のカフェで二人で楽しんでお茶してきなさい

店主には話をつけてあるから」


そう言ってそそくさと大吉と松前は席を立つ


ふたりが去ると何とも言えない気まずさが2人を包む


「あ、あのォ」

ご趣味はとか休みはなにしていらっしゃるんですか?

とかお見合いみたいな話は出来ない


ミオが下を向きながら思案する


「いやぁ初々しい」

松前が大吉とコッソリカフェの後ろの席で呟く


「なんかお似合いじゃな」

大吉も目をタレ目にしながら頷く

そこに、大吉の背中をトントン

「お!!オジジ ココにいたのか」

松前と大吉はギョッとして振り返ると依桜を連れた陽向汰が顔を出す


「あ、陽向汰か」

という大吉のこえにかぶせて

「アレー陽向汰の家政婦さんじゃない」

依桜が声をあげた

「は?」


松前がパッと立ちミオとスチュアートが見えないように陽向汰の前に立つ


「誰じゃこの子は

陽向汰のガールフレンドか?」


「いや、それを言うならガールフレンドのひ・と・り・ですよ、松前何を隠した」


陽向汰は松前の肩や頭を飛び越すように跳ねる

「ほらほら〜アレ」

依桜は無邪気に指を指す


「やめんか」

大吉の低い怒鳴り声に依桜は

「やだぁ陽向汰のじいちゃんてコワ、」

と大袈裟に身震いして見せた


「なんじゃあこの礼儀のない女はすぐ付き合いをやめろ!!」


陽向汰はオジジを見て呟く

「無邪気な天然さが可愛いんだよ依桜は」

ヨシヨシと依桜の頭を陽向汰が撫でるとウンウンと依桜もうなずく

ハァー!大吉も松前もこの2人は、バカップルにしか見えなかった


依桜も

「にゃーあーん」

と陽向汰の胸に顔を埋めた


「会長の決断は正しいと

理解しました。本腰を入れましょう」


と松前も呟く


「本腰って?」

陽向汰は意味深な2人に疑念をもち聞いてきた


「お前のエロ病に付き合えんってことだよ!!全く情けない

ミオが可哀想じゃ

ミオにはワシが推薦する

スチュアートの方が何倍もいい!ミオには身内になってもらいたかったがもう無理じゃ、

馬鹿者!!」

そう言って大吉はカフェを出た


「どういう事だよ💢松前」


「今日はミオさんのお見合いなので・・・邪魔しないでくださいヨ!!」

松前もそう厳しく言い残してカフェを後にした☕


「は?見合い?」


呆然とする陽向汰に


「ねえ お腹すいたー

運動する前にステーキ食べたい、部屋は取ってあるんでしょう」


依桜は無邪気にメニューを広げる

陽向汰は何時もより着飾ったミオを見つけそのまま依桜のテーブルに腰をストンと落とした


「ねえねえ陽向汰もステーキ?」


「あ、ああ ウン」


「わぁさすが一流ホテル

カフェにワインもあるぅー

飲もう」


「ああ、ウン」

気持ちの入らない陽向汰に依桜は気にかけず注文する


料理が来ても手をつけず一方向ばかり見ている陽向汰にやっと気づいた依桜は


「家政婦さんやるわね

あの彼外国人じゃん

しかもイケメン」


依桜は指をさしてフムフムと怪しそうな顔をした。


スチュアートとミオは最初こそぎこちない二人だったが

今は楽しげに会話が弾んでいる

外国人特有のレディファーストが目につきイライラし始める陽向汰


ミオも嬉しそうにして鼻につく‼️



「ねえねえ陽向汰

ピザも食べるぅ?」

ノー天気な依桜がメニューをパラパラとめくりながら聞いてくる。


「ああ!食いたいなら食えば!」

と依桜に突っけんどんに言う


「な、なに?

どーしたの?」

1時間前まで楽しく笑っていた陽向汰の豹変ぶりに依桜は目をむいてたじろぐ


陽向汰と依桜の前に料理が並んだ時スチュアートとミオが席をたった。


「うわぁー身長たっかー」

依桜はステーキの肉をフォークとナイフで切り分けながら2人をみる。

ミオの手を取り歩き出したスチュアートは礼儀正しくキリッとしていて非のつけようがなかった。


陽向汰はイライラが我慢できず

「待て!」

突然飛んで来た怒号に、ミオとスチュアートは振り返る


「君は誰?」



「お前こそ誰だ?💢」

陽向汰がスチュアートを煽るように聞いてくる。


「失礼よ陽向汰」

ミオの怒りもなんのそのワルのりした依桜も参戦


「家政婦さん何気取ってんだよ、アンタそんないい男捕まえるほど美人じゃないのにぃブス」


ワインがスパイスを効せているのか可愛らしい依桜の口からはどぎついセリフがポンポンと滑り出す。


「アンタ

モテてると思ってるの〜

化粧落としたらオカメか、おてもやんじゃない?

キャハハ キャハハ」



「は?それはオマエだろ」

陽向汰が依桜を指差す👉


この〜裏切り者と言わんばかりに依桜は陽向汰を睨みつけた


誰が置いていったのか経済誌のペロリとめくれたページに会長、倉科大吉と特集の記事が

載っていた。


依桜はパッと見て大吉をじーっと見る

「え?まさかこの爺さんじゃ」


「ああ、オジジじゃないか」

陽向汰軽いのそのセリフに依桜の目がジャリンチャリーン$\$


陽向汰にどっかの金持ち雰囲気を感じてはいたがここまでの上物だっとワ💰・・・

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